絶好調GK川島永嗣。唯一元気な「海外組」が今の心境を語る (3ページ目)

  • 中田徹●文 text by Nakata Toru photo by AFLO

 2013年夏、スタンダールはフランスのトロワから元U-21フランス代表GKのヨアン・テュラムを獲得した。しかし、川島は若手有望株とのポジション争いに打ち勝ち、見事に正GKの座を掴み取ったのである。そのような川島の逞(たくま)しさに対し、サポーターは「競争に動じない男」と讃えることも多い。それならば、西川周作との日本代表の守護神争いについて、川島はどう思っているのだろう。高いビルドアップ能力を誇り、川島とは違った特徴を持つ西川は、今シーズン、ブラジルW杯での正位置獲りを目指して浦和レッズへと移籍している。

「競争は常にある。それをメディアがどのように取り上げているか僕には分からないし、僕はJリーグでプレイしていないので、日本で見てもらえる機会は代表戦しかない。ただ、僕は自分のやっていることに自信を持っている。(西川やテュラムなど)さまざまな競争がある中、僕はいつも『向上すること』だけを目指しているんです」

 今シーズン、ベルギーリーグ優勝という実績を残せば、西川との正GK競争に決着がつくのではないか? 川島にそんな質問をぶつけてみた。

「そのために(ベルギーリーグで)優勝したいという思いはない。優勝したいのは、自分のため、そしてスタンダールのため。純粋な気持ちで優勝したいんです。そして優勝できれば、来シーズンはチャンピオンズリーグに出られる。今シーズンは日本人のゴールキーパーとして初めてヨーロッパリーグに出たけど、それで満足しているわけではない。日本では日本でできることがあるし、僕はベルギーでしかできないことを……という気持ちでやっている。いつも、自分の事に集中しているだけなんです」

 2008-09シーズン以来、ひさびさのリーグ優勝を目指しているスタンダール・リエージュ。その絶対的な守護神として、今、川島永嗣は充実の時を過ごしている。

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