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メディアが作り出した、本田圭佑が孤立しているというイメージ (2ページ目)

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 現日本代表監督のザッケローニが以前ミランのベンチに座っていた時も、確かこんなことを言っていた。

「ほんのわずかな例外を残し、イタリアに来た外国人選手が本当の力を発揮するようになるまでに、少なくとも半年は必要だろう」

 考えてもみてほしい。突然まるで知らない外国に行ったとしたら、皆さんはすぐに仕事で自分の力を発揮することがきるだろうか? 生活環境もガラっと変わり、言葉も勉強しなければならない、食事も違う、仕事場のやり方も違う。おまけに本田の場合は、ほんの数日で突然上司が変わってしまい、すべてのやり方がまたがらりと変わってしまったに等しいのだ。そんな状況では自分本来の力を出し切れるほうが珍しいだろう。彼を批判するメディアやサポーターはまずそこのところを考えて欲しいものだ。

 おまけに本田は"チームメイトから孤立している"というメディアが勝手に作り出したイメージとも戦わなくてはならない。ミランのオフィシャル・マガジン編集長ということで、私は選手たちと間近に接する機会も多いが、断じて本田が仲間はずれになっていることなどない。それどころかこれまでの連載で私は何度も、本田がいかにミランに馴染み、仲間との友情を深めているかを書いてきたはずだ。

 ミラネッロでは相変わらず彼の礼儀正しさと、練習に対する真摯な態度に賞賛の声が上がっている。もうひとつミラネッロのスタッフやそこに集まる人間を感嘆させているのが、本田のエレガントさだ。ミランの選手の中でも練習にジャケットとパンツ着用でやってくるのは本田ただ一人である。ネクタイをしめていることさえある。

 かつてイタリアの多くのチームは服装に厳しかった。ジャケットとネクタイ着用でなければクラブハウスに入れなかったり、チームバスに乗せないという監督もいた。しかし今は時代も変わり、ほとんどがラフな格好で練習にやって来る。その中での本田の着こなしの優雅さには目を奪われる。イタリアのジェンティル・ウォモ(紳士)が再来したかのような本田を見ると、私のような古い人間は嬉しくなってしまうのだ。

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