ドイツの日本人勢は順調な開幕。内田篤人にブンデス4年目の余裕 (2ページ目)
一方の細貝は、本職だと自負するボランチでフランクフルト戦に先発出場した。1週間前のドイツ杯ではわずか8分間の出場だった。チームに合流してから約3週間で、他の選手のほぼ半分。わずかな時間しか実戦を経験しておらず、「開幕スタメンはちょっとわからない」と弱音を吐いていた。地元メディアからもスタメンとは目されておらず、試合後は「細貝出場はサプライズだが」とルフカイ監督へ質問が飛んだ。指揮官は「全てを明かす必要なないと考えている。チームの質を上げるために細貝は起用した」と説明した。
細貝はダブルボランチの一角でプレイし、イメージの強い守備的な役割ではなく、より高い位置で攻撃的にプレイした。細貝にボールが入ったところから縦パスが入る、いわばスイッチの役割として機能し、この日の6得点のうち2点の起点となり、1点をアシストしている(試合は6-1でヘルタが大勝)。
対戦相手、フランクフルトの乾貴士は、4-2-3-1から中盤がダイヤモンドの4-4-2、もしくは4-3-3へとシステムの変更が行なわれたあおりを受け、ポジションを失った格好だ。ビハインドで迎えた後半立ち上がりからプレイしたが、ドリブルの回数自体も少なく、苦しんだ。試合後は苦笑いを見せながら無言で立ち去った。
内田篤人(シャルケ)はハンブルガー戦に先発フル出場を果たしている。先週のドイツ杯ではコンディションの影響でベンチスタートだったが、途中から守備を安定させるために出場し、信頼を得ていることがうかがえた。この日は攻守に卒なくプレイ。前半は相手の左MFから徹底したプレスを受け攻撃的にプレイすることはなかったが、相手にやられることもない。後半に入ってプレスが緩むと、ベンチからは「上がれ」と指示があり、高い位置でプレイした(試合は3-3のドロー)。
後半24分にはジョーンズからのパスを受け、中央へ好クロスを配球するなど、見せ場も作った。「あれは良い形だった。ボールが出るようになっている」と、そのシーンを満足そうに振り返った。対面でプレスをかけてきたゾウアのことは「よく知らない」と言い「いつもは髪の長いヤツ(イラチェク)だったのに違うヤツだったから、(イラチェクに)『どうしてプレイしないの』って聞いたら『知らねー』って言われた」と、対戦相手との珍しいエピソードを明かす。ブンデス4年目の余裕が感じられる幕開けだ。
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