ファーガソン退任のマンU。香川真司、来季のポジションは? (2ページ目)

  • 鈴木英寿●文 text by Suzuki Hidetoshi
  • photo by AFLO

 ましてやファーガソンは、プレミアリーグ13回、FAカップ5回、リーグカップ4回、チャンピオンズリーグ2回、FIFAクラブワールドカップ1回(旧インターコンチネンタルカップも1回)、カップウィナーズカップ1回のタイトル獲得だけではなく、アカデミー組織の改革・充実でも素晴らしい実績を挙げてきた。それゆえ、後継者にはチャールトンの言う「長期的視野」が求められており、モウリーニョのような「短期集中型」の成功者はリストから排除されたのだろう。ユナイテッド、マンチェスター・シティ、アーセナル、チェルシー、リバプール、トッテナムなどに比べて資金力の限られているエバートンを長年指揮し、強化・育成両面において成果を挙げてきたモイーズだからこそ、白羽の矢が立ったのだ。また、5月9日付の『サン』紙が、「ファーガソン流の後継者としてすべての要件を満たす」と評価したように、モイーズは「選手には厳しい態度」で臨み、「ファーガソンばりに短気」で、「ユース育成に重きを置く」タイプの指揮官であり、その上「長期政権を好む」ことも、ユナイテッドの長期安定には欠かせない資質だった。さらに付け加えれば、「移籍マーケットで賢く立ち回る」こともできる。

 現役時代、スコットランドリーグやイングランドの下部リーグでプレイしたモイーズは、独自のスカウティング網によって逸材を見出し、徹底的に鍛え、若手を育てる手腕に定評がある。また、過去に確執があったとはいえ、ウェイン・ルーニーを見出し、羽ばたかせたのもモイーズで、監督就任となれば師弟関係復活ともなる。

 さて、ここで日本のファンからすれば、「香川真司の起用法はどうなる?」という点が、最も気になるところだろう。

 現地大手メディアはまだ、モイーズ政権下での来季のフォーメーションを予想していないものの、エバートンでトップ下を務める大型MFマルアン・フェライニ(ベルギー代表)を獲得するのではないかという報道が流れ始めた。もとより、FWにはドルトムントの人気株ロベルト・レバンドフスキが最優先ターゲットとされており、モイーズ就任報道前では、「レバンドフスキとロビン・ファン・ペルシーの2トップ、そして香川を中盤ダイヤモンドの頂点とする4-4-2」と予想する地元紙もあった。

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