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【イタリア】ユーベ監督が分析。
なぜセリエAで3バックが主流になったのか? (2ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 さらに、あのジネディーヌ・ジダン率いるフランス代表が1998年のW杯フランス大会で世界の頂点に立てば、そこでは"トレクアルティスタ(イタリア語で3/4の意。FWとMFの中間のポジション)3枚"の『4−2−3−1』が主流になり、続いて今度は"ロンボ(ダイヤモンド型)"の中盤を軸とする『4−3−1−2』へと流行は移っていく、というように。

 したがって、今の『3−5−2』、または『3−4−1−2』といった形が大勢を占める現象もまた同じと言って差し支えないだろう。もちろん理由はそれだけではないし、我々ユベントスの3−5−2がそれほど容易(たや)いものではないことも当然で、今、3バックを採用するチームすべての背後に、緻密かつ長い研究の積み重ねがあることは言うまでもない。

 要するに、『単なる流行』とも解釈できるが、と同時にそれは監督たちの飽くなき探究心と彼らが常に激しい競争にさらされていることを如実に示す事実だとも言えるのではないか。

 当然、たとえば私のユベントスが別の形で倒されれば、その別の形が次の流行の柱になる。もっとも、なにも私は今の形に固執しているわけではないし、そもそもシステムありきでチームづくりをしているわけではないんだ。

 実際は真逆。配下のメンバーひとりひとりの特性を見極め、その集合体として最も適した形が今の3−5−2であったに過ぎない。いわゆるサッカー哲学をベースとして、その上に選手個々の特性や能力を載せ、すると半ば必然的に一定の形、フォーメーションが生じることになる、という流れだ」

――とすれば、やはり次なる疑問は"なぜイタリアで顕著にその現象が見られるのか"になる。

「その答えも、実のところ簡単だ。要は"勝者が歴史を作る"ということの証に他ならないのではないかと思う。

 ユーベは昨季のセリエAを、最多ゴール数こそミランの後塵を拝したとはいえ最少失点で、しかも無敗で制し、それだけでなく今季半ばを過ぎても変わらずに質の高いサッカーを見せ続けている。とすれば、少なくはないチームがユーベにヒントを得ようとするのは当然と言えるのではないか。
 
 それこそ、あのサッキ以来DF4枚が半ばドグマ(教義)とされるミランでさえも今季、前半戦の不調の中で最終ラインを3枚に変えたという事実があるくらいだからね。

 もっとも、アッレグリは数試合でそのシステム変更を断念したわけだが。それはもちろん、今日のミランがDF3枚で戦うに相応しい選手を揃えていないことの証左なのだろう」

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