【イタリア】ユーベ監督が分析。なぜセリエAで3バックが主流になったのか?

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

名門ユベントスを率いるコンテ監督。昨季は無敗で優勝。今季も首位を独走photo by Getty Images名門ユベントスを率いるコンテ監督。昨季は無敗で優勝。今季も首位を独走photo by Getty Images 現在、イタリアのセリエAで、3-5-2フォーメーションを採用して首位を走るユベントス。その指揮を執る就任2年目のアントニオ・コンテ監督が、フォーメーションの潮流と未来を語った。

――今回はテーマを絞って詳しくうかがいます。昨季2011-2012シーズンを境にして急激に3バックを採用するチームが増加しています。今季はユベントス、ローマ、ボローニャ、ウディネーゼ、フィオレンティーナ、ナポリ、ジェノア、シエナ、サンプドリア、キエーボなどに見られ、最近ではインテルも相手に応じて採用している。

 結果として実にセリエA全18チーム中の半数以上が「3バック」をその基本布陣としている。これがなぜなのか、欧州各国のリーグを見渡しても稀有と言えるこの状況をあなたはどう見ているのでしょうか。

「まず言うべきは、やはり、いつの時代にも一定の『潮流』があるということ。ある形が主流になれば、一方で別のある形はその陰を薄くしていく。こうした話になれば誰もが使う言葉だが、それはまぁ言ってみればファッションの流行と同じようなもの。そのことは、歴史が雄弁に物語っていると言えるだろう。

 あるチームがひとつの戦い方で勝利を重ねれば、それに対抗するために相対する監督もまた同様の策で臨み、それが奏功すれば、その布陣の採用頻度が高まって他のクラブにも拡散し、いつの間にかその"ひとつの戦い方"とやらが主流になっているという具合に、伝染しながらひとつの時代を作っていくことになる。

 もちろん、それには長いか短いかの差はある。だが周知の通り、80年代の後期にアリゴ・サッキが指揮するミランが現れて『4−4−2』で勝ちまくると、それは、もちろん私も含めて多くの"信奉者"を生み、瞬(またた)く間にイタリア全土へと伝播していった。

 あるいは、その後の90年代中期、マルチェッロ・リッピがユベントスを率いて『4−3−3』で勝ち続けると、いわゆる"前3枚(3トップ)"を代名詞としたこの形が広く支持されるようになり、まるでサッキの頃と同じような現象が起きることになった。

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