【イタリア】勝っても監督がブチ切れ!好調ナポリが抱える内憂外患

  • 内海浩子●文 text by Uchiumi Hiroko
  • photo by GettyImages

ローマ戦ではハットトリックを達成。現在セリエA得点王のウルグアイ代表カバーニ(ナポリ) ローマ戦ではハットトリックを達成。現在セリエA得点王のウルグアイ代表カバーニ(ナポリ)  1月6日の前節、チャンピオンズリーグ出場枠を争うローマとの直接対決を4-1でものにし、首位ユベントスを筆頭にインテル、フィオレンティーナらライバルが負けたというのに、ナポリの監督、マッザーリは不機嫌で苛立っていた。試合後の各局テレビ番組のインタビューでは、解説者に悪態をついたり、勝手にインタビューを打ちきって画面から消えてしまったのだから、見る側は呆然だ。

 彼がブチンと切れたのは、要約すると「ナポリは守備的で、勝てたのはカバーニのお陰」という試合評を耳にしたせいなのだが、この日のナポリが守備力でローマに差をつけ、カバーニがハットトリックを決めたことを考えれば、少々過剰すぎる反応である。

 マスコミ対応という意味での社交があまり得意ではない彼の性格によるところもあるだろう。カバーニのハットトリックを可能にした戦略とチーム力をもっと認めて欲しかったこともあるだろう。だが、その態度からは、何よりも彼が抱える精神的ストレスの大きさを感じずにいられない。

 自らの契約が今季いっぱいで切れ、オーナーからは2位や3位ではなく「タイトル」を求められ、その割に見合った補強は必ずしもなされず、生え抜きを育てるプロジェクトはいまだ本格発進する気配がない。

 ホームスタジアムであるサンパオロの芝も最悪だ。これは開幕前から言われ続けていることなのだが、マッザーリの目にはそれを何が何でも解決しようとフロントが汗(と金)を流しているようには見えていないようだ。

 12月に下された八百長判決も追い打ちをかけた。これはユベントスのコンテ監督らに下されてきた審判の一連のものであり、"一審"に当たる今回の判決では、ナポリのパオロ・カンナバーロとグラーバに6ヵ月の出場停止、チームに対しては監督責任で減点2となったのである(もしこの減点2がなければ、ナポリはラツィオと並んで現時点でセリエA2位となる)。

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