【ブラジル】最強のブラジル代表はなぜW杯で優勝できなかったのか (3ページ目)
3番手フォワードのエジムンドが出場した時間はごくわずか。出場しても空回りする始末で、結局、戦力としての確認はできずに終わった。その他の控え選手もしかり。逆に、使えない選手を大量に発生させることになった。
ブラジルは10連戦で十分な結果を出したものの、チームの総合力がアップしたようには見えなかった。伸びしろというものを感じさせなかった。
コパアメリカに、欧州の「ユーロ」のようなステイタスがあるなら話は別だ。結果を出すことが最優先になっても致し方ない。だがユーロが4年に一度であるのに対し、コパアメリカは2年に一度。しかもこのときはW杯予選の最中に行なわれるという間の悪さも手伝い、他国のモチベーションは著しく低かった。コンディション調整に重点を置く国がほとんどだった。予選を免除されたブラジルは、独り相撲を強いられた格好だった。他の国々は、強いブラジルを横目に見ながら、大会が終わるや再び予選の戦いに入っていった。
ブラジルはW杯イヤーに突入すると失速した。心配は杞憂に終わらなかった。
・2月3日 ジャマイカ戦 0-0
・2月5日 グァテマラ戦 1-1
・2月8日 エルサルバドル戦 4-0
・2月10日 アメリカ戦 0-1
・2月15日 ジャマイカ戦 1-0
・3月25日 ドイツ戦 2-1
・4月29日 アルゼンチン戦 0-1
99697人のファンが「マラカナン」を満員に埋めたホーム戦。アルゼンチンサポーターの姿が確認できないホーム色100%の中で、ブラジルは苦戦した。 満員の観衆は、当初こそアルゼンチンに罵声を浴びせかけたが、ほどなくしてその矛先はふがいない戦いをくり広げる自軍に向けられた。「能なし監督、 引っ込め!」。後ろに座るブラジル人記者は、スタンドからわき上がる声をそう英訳してくれた。「エジムンド!」コールも湧いた。控え選手の象徴である彼の名前を合唱することで、ザガロに嫌みたっぷりに圧力を掛けた。
ザガロはこらえきれずエジムンドをピッチに送り出すも、控えが板についた彼に状況を変える術などあるはずがなかった。むしろ足を引っ張る存在になっていることが明確になると、スタンドは沈黙。アルゼンチンはそのタイミングで決勝ゴールを奪った。クラウディオ・ロペスが近距離からゴールの天井に突き刺す豪快なシュートをたたき込んだ。観衆はするとアルゼンチンがパスをつなげるたびに「オーレ、オーレ」と絶叫。皮肉たっぷりに我が代表をこき下ろした。
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