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【フランス】ようやくスウェーデン人に「なった」イブラヒモビッチ

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

11月14日の親善試合イングランド戦では4ゴールをあげ、スウェーデンを4-2の勝利に導いた photo by GettyImages11月14日の親善試合イングランド戦では4ゴールをあげ、スウェーデンを4-2の勝利に導いた photo by GettyImages【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】イブラヒモビッチの半生(後編)

 2004年、ズラタン・イブラヒモビッチはユベントスに移籍する。ある日、彼は誰もいないロッカールームに呼び出された。偉大な監督ファビオ・カペッロが、タオルを1枚だけ巻いた姿でそこにいた。

 カペッロは古いビデオテープをプレイヤーに入れ、部屋を出ていった。マルコ・ファン・バステンのゴールシーンを集めたビデオだった。イブラヒモビッチはカペッロのメッセージを理解した──フットボールはゴールがすべて、あとは枝葉でしかない。

 ユベントスはイブラヒモビッチに筋トレをさせ、体重を10キロ増やした(彼が自伝に書いているように、フットボール選手の体はクラブのものだ)。イブラヒモビッチはゲットーで培った才能から、ゴールを量産するようになった。

「スタジアムを沸かせる才能は、少しだけ減ったかもしれない」と、スウェーデンのクラブ、マルメでチームメイトだったニクラス・シンドバルは言う。「あいつはいつも、信じられないような技を使っていた。それを封じたのは寂しいけど、代わりに得たものはとても大きいと思う」

 イブラヒモビッチはユベントスでリーグ2連覇を果たした(後に審判買収スキャンダルが発覚し、この2シーズンのタイトルは剥奪)。彼はその後、インテルに移る。イブラヒモビッチが在籍した3シーズンに、インテルはすべてリーグ優勝を果たした。

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