【オランダ】大津祐樹、初スタメン「本当に今、スタートに立った」

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

本田圭佑や吉田麻也のように、大津祐樹もVVVから羽ばたいていけるか本田圭佑や吉田麻也のように、大津祐樹もVVVから羽ばたいていけるか 香川真司や内田篤人ら、多くの日本人がブンデスリーガで成功した一方で、なかなか出場機会に恵まれない選手もいる。かつて、VVVフェンロのハイ・ベルデン会長は、「ブンデスリーガで出番のない日本人選手は、うちにレンタルで来れば良いのに」とこぼしていたことがあった。

 この夏、大津祐樹がVVVに移籍してきた。ベルデン会長は、ボルシア・メンヘングラッドバッハ時代から大津のことをチェックしていたという。もしかすると先の発言は、大津のことを念頭に置いたものだったのかもしれない。

 しかし、契約はレンタルではなかった。移籍金を払った上での、完全移籍である。ロンドン五輪の視察に飛んだベルデン会長は、日本代表のゲームを2試合観戦。そこで大津のテクニックとスピードに魅了された。

「彼の足はまるで競走馬のようだ。ヨハン・クライフの足にも似ている。後で古いビデオをチェックしてみろ。本当に同じだから」(ベルデン会長)

 駿馬の足を持ったタレントが、フェンロからわずか35キロ南のメンヘングラッドバッハでくすぶっていたのだ。VVVにとっては、あまりに幸運なことだった。早速ベルデン会長は、大津の獲得に乗り出した。大津も、当時VVVに所属していた吉田麻也のマンションを訪ね、親身になって相談にのってもらった。

 だが、VVVの年間予算は、わずか750万ユーロ(約7億8000万円)に過ぎない。これは今季のエールディビジを戦う18チーム中、16番目の予算だ。同リーグにおけるEU外国籍選手の最低年棒は、50万ユーロ(約5200万円)。それは当然、大津にも適用される。貧乏クラブのVVVのどこに、そんな資金があるのだろう。

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