【イングランド】香川真司がスタンドから見たマンU逆転劇と4-4-2

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

ストークシティ戦でも2ゴールをあげ、徐々に調子を取り戻しつつあるルーニーストークシティ戦でも2ゴールをあげ、徐々に調子を取り戻しつつあるルーニー プレミアリーグ第8節ストークシティ戦、香川真司は初めてリーグ戦でのベンチ外を経験することとなった。香川はウィガン戦のベンチスタートを除き、リーグ戦ではすべての試合に先発してきているだけに憶測が飛び交った。負傷なのか、病気なのか、それとも指揮官に見切られたのか。だが、どうやらチャンピオンズリーグに備えるための温存策だという見方が強いようだ。

 とはいえ、本人にとって、悔しくないということもないだろう。先の日本代表フランス戦で1ゴールをあげた時も、すでにこういう事態を予期していたかのような言葉を発している。

「(マンUは)本当に厳しいチームですし、もちろんいろんな葛藤はあるのは事実です。事実だからこそ、僕は今、やっぱり結果を求めてたし、何かきっかけを......」
 
 所属チームでポジション奪取ができていないことは重々承知だった。

 ファーガソン監督は香川の能力を最大限に生かそうと、いわゆるトップ下のポジションを設けてまで迎え入れた。昨年まで主に採用された4-4-2から4-2-3-1へとシステムを変更。しかも単にフォワードが縦関係になるというのではなく、サイドを突く攻撃以外に、中盤を使ってゴール前で選択肢を作ろうという意図で香川は起用された。チームにとって新たなチャレンジでもあったのだ。

 だが、どうもこれがしっくりこなかった。高い技術と能力の持ち主が揃うマンチェスター・ユナイテッドでも、やはり攻撃の基本的な形は速攻だ。中よりもサイド。強さとスピードで勝負。だが、香川が入ることでボールを落ち着かせることができる一方、醍醐味ともいえるスピード感が失われたように見えることも事実だった。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る