【イングランド】香川真司がスタンドから見たマンU逆転劇と4-4-2 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 また、ボールの出所となるボランチとも呼吸が今ひとつ合わない。チームとしてスピードアップすべきタイミングで、失速するようなシーンが続くと、はっきりとボールは出て来なくなる。それでもここまで2ゴール2アシストは立派な結果だが、「厳しい」と本人が感じる状況も生まれる。ルーニー、ファン・ペルシーと組んだ時間帯、特に左に入った時は香川の良さも出るように見えたが、それでも指揮官は更に上のレベルを求めているようだ。

 ストークシティ戦では布陣は4-4-2に戻っている。右MFにはバレンシア、左MFにはウェルベック、2トップにはルーニーとファン・ペルシーだ。ルーニーの器用さは折り紙付きだが、ファン・ペルシーもゴール前に張り付くだけでなく、左右に流れるなどしてクロスを上げる。その結果、両サイドのスピードが生きることになる。

 この日はセットプレイからルーニーのオウンゴールで先制点を献上したものの、その後4得点をあげて逆転勝利。得点の内訳はサイドのクロスからが3点、そしてCKからが1 点だ。

 ストークシティはクラウチ1枚を前に残し人数をかけて守る。力に差のあるチーム同士による典型的な試合となった。それをマンUは圧倒的なスピードとパワーで押し切っていく。得点はルーニーが2点、ファン・ペルシーが1点、ウェルベックが1点と、取るべき選手が取っている。

 この4-4-2のどこで香川は生きるのだろうか。ドルトムント時代から「自分の技術やゴール前の良さはトップ下でこそ生きる。サイドで勝負できるスピードと強さはない」と自覚していたことを考えると、本人にとっては想定外の状況ではないかもしれない。

 香川は他のベンチ外選手とともにスタンドからジャージ姿で観戦した。神妙な顔つきで味方の快勝劇を見つめながら、何を感じたのだろうか。

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