【スペイン】レアル、スーパーカップ優勝。タイトル以上の大きな意味とは?

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • ムツ・カワモリ●写真 photo by Mutsu Kawamori/MUTSU FOTOGRAFIA

勝ち越しゴールを決めたクリスティアーノ・ロナウド勝ち越しゴールを決めたクリスティアーノ・ロナウド シーズンを占う前哨戦となるスペイン・スーパーカップは、2戦合計4対4の引き分けに終わったが、アウェーゴールでレアル・マドリードがバルセロナを下し、2012~13シーズンの最初のタイトルを獲得した(バルセロナで行なわれた1戦目は3-2でバルセロナの勝利。マドリードで行なわれた2戦目は2-1でレアル・マドリードの勝利)。

 全世界のサッカーファンが注目するクラシコだが、今回のスペイン・スーパーカップでは、昨シーズンまであった強烈なライバル意識を感じさせるプレイは影をひそめた。理由はいくつかあるだろう。例年より早いシーズン開幕により、選手たちのコンディションが本調子でないこと。公式タイトルとはいえ、「リーガのタイトルを取れるならスーパーカップを逃しても構わない」とモウリーニョがコメントしたように、開幕を祝うことが目的のタイトルになりつつあること。多すぎる両者の対戦。そしてポルトガル人監督が噛みついてきたグアルディオラの不在......。

 スペイン代表での関係が危惧されるほど激しすぎるライバル意識が育まれてきたクラシコの対決だが、その関係を修復したと言われる両チームのキャプテンからは相手に対する賛辞の言葉が送られた。試合後、カシージャスは「表彰までピッチに残ってくれたバルセロナに感謝したい」と語り、シャビも「マドリードを祝福したい」と、相手チームに敬意を表した。この2チームの関係は新たなステップへと向かっているようだ。

 話を試合に戻すと、前半はこれまでの両者の立場とは全く逆のものだった。ボール支配率でこそバルセロナはレアル・マドリードを上回るが、決定機の数は1対7と完敗。まるでロンドン五輪のスペイン対日本の試合を再現したかのように、自陣でボールを奪ったレアル・マドリードが、速攻からチャンスを次々と作り出していく。

 一方のバルセロナは、早い時間にアドリアーノが退場となりながらも、ボールをキープして自分たちのサッカーを貫いた。監督のビラノバは「マドリードが良かったのではない。DFの裏へのロングボールがうまくいっただけ」と記者会見で強気の姿勢を見せたが、サッカーは自由な発想のもとで行なわれるスポーツ。ゴールを狙う方法はショートパスをつなぐだけではない。

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