【イタリア】セリエA開幕。戦力強化したインテルと長友佑都の今季は? (2ページ目)

  • 内海浩子●文 text by Uchiumi Hiroko
  • photo by SINO/FOOTBALL PRESS

 こうして補強の注目は何かと話題性もあるカッサーノへ向かいがちだが、一番のポイントは強化された中盤にある。ストラマッチョーニは前線にCF、シャドー、そしてその背後にファンタジスタを置きたい(もしくはアタッカー+トップ下2人)。そして彼らにはできるかぎり攻撃に専念させたい。

 だが、昨季はこのために中盤と前線の間が空洞化して守備から攻撃への転換がうまくいかず、しかもやたら失点してしまった。その補正を彼は前線の選手の守備協力よりもMFで行なおうとしている。グアリン、ガルガーノ、ムディンガイには攻守にバランス良く3人分働くことが求められるのだ。

 現時点で最も駒不足なのはCFとサイド。CFはミリートが3冠時代に近いプレイを取り戻しており心強いが、彼の調子が落ちた時や故障の場合の代役がいない。サイドはペレイラの獲得で左SBは埋まったが、問題は右SB。インテルでの倦怠期から抜け出せないマイコンが放出される予定なのだが、後釜がいないのだ。

 スタミナ抜群で走力があり積極的に攻撃へからんでくる長友が右に回るものと見られているが、先日のヨーロッパリーグプレイオフでも、肝心なところであっさり敵にかわされたり、攻撃面でのアシストプレイが的確でなかったりと、正確性と守備面での安定感でサネッティが一枚上という評価を覆(くつがえ)せずにいる。

 今季は木曜開催のヨーロッパリーグもあることからリーグ戦とのローテーションは必至。よって右も左もできる長友は重宝されるだろう。だが、インテルのようなチームで"なくてはならないSB"になるためには、攻守において肝心なところで効く、世界レベルの選手でなくてはならない。そしてそのレベルこそ、まさに長友が目指しているものなのである。

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