【CL】アンフェアな決勝。地の利を得たバイエルンは5回目の優勝を飾れるか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Imeges

 CL決勝の場合、試合前日に出場2クラブがスタジアムで公式練習を行なうのが通例だが、バイエルンはいつも通り、クラブの練習場で粛々と前日練習を行なった。

 大一番を前にしても、こうしていつもと変わらぬ環境で汗を流すことができるメリットは大きい。練習場には多くのサポーターが詰めかけ、グラウンド脇の小高い丘の上から、発煙筒までたいて、試合並みの大声援を送っていたが、選手たちは至って落ち着いた様子を見せていた。

 加えて、ラームは「2年前の経験が大きい」とも話す。

 バイエルンは一昨年、9年ぶりにCLで決勝進出。だが、インテルに敗れ、惜しくも優勝を逃している。ラームは当時を「すべてが初めての経験だった」と振り返り、こう続ける。

「今の僕らは、より多くの経験を積んでいる」

 バイエルンは、直近の公式戦であるドイツカップ決勝でドルトムントに2-5と敗戦。ブンデスリーガでも同じくドルトムントの後塵を拝して、2位に終わっている。普通であれば、いい流れでCL決勝を迎えているとは言い難い状況だ。

 ラームにしても慎重な姿勢は崩さず、「ホームで戦えることは、わずかなアドバンテージにすぎない。(力は拮抗していて)小さなことで勝敗が決するだろう」と話す。

 それでも、バイエルンの優位は動かしようがない。地の利がいかに大きいかは、サッカーの世界ではなかば常識だからだ。

 だからこそ、負けられない、いや、負けるはずがないと、バイエルン・サポーターは信じている。まだ試合前夜にもかかわらず、ミュンヘン市内中心部のマリエン広場には早くも多くのサポーターが集まり、大量のビールを胃袋に収め、気勢をあげていた。

 試合会場はもちろんのこと、市内で行なわれる2カ所のパブリックビューイングでも、合わせて95,000席のチケットがすでに完売。歴史的な一戦を前にミュンヘンは今、異常な盛り上がりを見せている。

 バイエルンが通算5度目の優勝を成し遂げたとき、ミュンヘンの街はどんなことになるのだろうか。それを想像すると、楽しみでもあり、恐ろしくもある。

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