2012.05.19

【CL】アンフェアな決勝。
地の利を得たバイエルンは5回目の優勝を飾れるか?

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Imeges

前日会見で意気込みを語ったバイエルンのラーム まずはバイエルン・ミュンヘンがここまでたどり着いたことを称えたうえで、言っておかなければならないことがある。それは、今年のUEFAチャンピオンズリーグ(以下CL)決勝がCL史上最もアンフェアなファイナルだということだ。

 というのも、中立地での一発勝負で行なわれるはずのCL決勝が、今年はバイエルンのホームで行なわれるからである。対戦相手のチェルシーにとってみれば、これほど不公平な話はない。

 とはいえ、そこには何らの作為もない。

 毎年、決勝の開催地は事前に(たいていは数年前に)決められている。つまりは、過去の試合においても「CL史上最もアンフェアなファイナル」になる可能性はあったわけだが、当該クラブが決勝に進むことができなかった、というだけのことだ。

 決勝の開催地をホームとするクラブが決勝に進出したのは、92年にCLが創設されてからは初めてのこと。前身のチャンピオンズカップ時代にさかのぼっても、過去に3度しか例がなく、実に28年ぶりの快挙なのである。

 ホームでCL決勝を戦うという稀な栄誉を授かったバイエルンの選手たちは、当然、優勝へ並々ならぬ意欲を見せる。なかでも右SBのラームは、その思いが強い。約170cmと小柄なキャプテンは、試合前日の記者会見でこう語っている。

「(地元で行なわれる)決勝に進出することは夢だったが、こうして僕らはここにいる。まだ難しい仕事が残っているが、CL決勝でホームスタジアムのピッチに立てるというのは、すばらしいことだ」

 ミュンヘンで生まれ育った28歳のラームは、11歳でバイエルンの育成組織に入り、長くバイエルンで選手生活を送ってきた、文字通りの生え抜き。そんなラームにとって、この一戦が特別でないはずがない。

「ここは間違いなく僕のホーム。周りを見ると、みんなが(決勝進出を)喜んでくれている。いい予感がするよ」

 恐らく、「いい予感」はすべてのバイエルン・サポーターにとって共通のものだろう。今季のCLにおいて、バイエルンはホームで7戦全勝。ただの一度も、負けはおろか、引き分けすらないのだ。

 また、ホームアドバンテージは単純な数字だけの話ではない。