【Jリーグ】元日本代表MFが語る「人生の師」オシムとの思い出「初日から挨拶を拒否。あの時はちょっとざわついた」 (2ページ目)
【ただ走るのは動物でもできる】
── オシムさん流の難解な練習が始まったわけですね。
「そうです。いきなりボールを使ったんですが、コーチ陣も何をするかわかっていなかったから、みんな、あたふたしちゃって。ビブスもたくさん使いましたし、今までやったことがない、頭を使う練習ばかりだったので、次から次にクエスチョンだけが増えていくんですよ。結局、初日はよくわからないまま練習が終わっちゃいましたね」
── 何色ものビブスを使う練習は、当時話題になりました。
「日本ではそれまでに3、4色ぐらいしかビブスの色がなかったんですよ。だから、急遽チームのマネジャーがいろんな色に染め直したんです。結局、8色くらいになったのかな。市販されていないから、自分たちで染めるしかなかったんですよね。でも、オシムさんがそうした練習をすることが世の中に広まってから、メーカーがいろんなカラーのビブスを作るようになったんですよ」
── かなり難解なトレーニングをするなかで、驚きも多くあったのではないでしょうか。
「どの練習でも、必ずボールを使うんですよ。ウォーミングアップからボールを使うことは、今までやったことがなかったので、ちょっと驚きがありました。でも、オシムさんは言うんですよ。『お前ら、サッカー選手なんだろ?』って。たしかにそうだなと。オシムさんの言葉には、最初から説得力がありましたね」
── オシムさんのサッカーでは「考えて走る」がキーワードとなっていました。
「まさにそのとおりで。考えながら走るということがどれだけ大事なのかということを、オシムさんには教わりました。状況をしっかりと認知して、判断して、決断することがフットボールでは一番重要だということ。
オシムさんが来るまでもプロとしてやっていましたけど、サッカーをそういうふうに考えたことがなかったんです。もちろん考えてはいましたけど、感覚的にプレーしていたことが多かったかもしれません。
でも、自然とやっていたプレーでも、しっかりと考えて、判断し、決断しなければいけない。オシムさんはよく言っていました。『ただ走るんだったら、動物でもできる。お前らは人間なんだから、しっかりと頭を使って、考えてプレーしろ』って。トレーニングの時からそこは本当に、強く求められていました」
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