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かつての常勝軍団・鹿島アントラーズが9年ぶりにJ1制覇 それでも理想はもっと先にある「(現在の到達点は)100のうち5」 (3ページ目)

  • 池田博一●取材・文 text by Hirokazu Ikeda

【優勝はしたが、まだ理想には...】

 理想が高ければ高いほど、現状に満足することはない。今年のチームには、日々の練習に強度と熱量が増し、ピッチには常に競争の気配が漂っていた。

 12月6日の最終節、横浜F・マリノスをホームに迎え、見事に2-1の勝利を収めた。自力で優勝を決めたあと、植田と鈴木が、そして三竿が抱き合い、3人の両目に涙が溢れた。これまでの苦しみからくる達成感と安堵感に浸りきった。鈴木は語る。

「2016年の(優勝の)ときは、正直、右も左もわからなかった。当時は先輩たちが走っているところについていけばよかったけど、今はそこを自分たちが示さなきゃいけない。示す大変さというのは、この4年でものすごく痛感していました。経験のある選手たちが戻ってきて、経験豊富な指揮官が就いた。達成感は正直、全然違います」

 理想は"相手を圧倒して、見る人を魅了するサッカー"だ。ただし鬼木監督が求める基準には到底届いていない、とチーム全体で自覚している。今季全試合出場を果たした松村優太は言う。

「シーズンを通して、攻守に圧倒して勝とうと。それが目標でした。でも振り返れば、どうして勝てたのだろうと感じる試合も多かった。それが最終節にやっと形にできたのかな、と思っています」

 9年ぶりのタイトルを手にした最終戦、GK早川友基、CB植田、MF知念慶、MF三竿、FW鈴木の縦ラインが礎となり、荒木遼太郎、松村が躍動。理想の始まりを告げる序章のような戦いを見せた。

 鈴木が見る、今のチームの立ち位置はいかほどか。

「監督が目指すところにどれくらい到達できたか? 100のうち5とかじゃないですか。本当にそんな感じですよ。そのくらい求めるものが高い。だけど、全員がチャレンジしよう、上手くなろうという反応を示せた。それがチームとして成長できた一番の理由だと思います」

 まだまだ未完成。タイトルを知ったチームは、いかにさらなる成長を遂げていくか。目指す理想への挑戦は、まだスタートラインに立ったばかりだ。

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