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「考・体・心・技」を信条とする塩谷司 37歳になる彼が最優先する、レジェンドたちが継承してきた広島のDNAとは (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

「広島に戻ると決めた時から試合に出ても、出られなくても、チームのためにできることは全部やろうと決めていたし、正直、仮に自分が干されたとしても、それでチームがよくなるなら、勝てるならいいやとすら思っています。実際、常々チームがよくなるためには何をすべきか、若い選手がもっと伸び伸びとプレーするにはどう振る舞うべきかを考えているし、それを仲間にも、監督にも伝えています。

 これはUAEでの経験も大きかったかもしれません。というのも、海外の選手ってチームで何かを発言する時によくも悪くも歯に衣着せぬというか。『これを言って干されたらどうしよう』とか『仲間に嫌われたらどうしよう』みたいなことをまったく考えないんです。思うことがあれば、自分の考えをまっすぐに伝えるし、相手もそれを当たり前に受け入れる。監督と選手の関係性もすごくフランクで、ただただ、チームをよくするための仲間として意見を交わしています。

 もちろんここは日本で、そういった関係性を好む監督ばかりではないのは百も承知です。でも、少なからず、スキッベさんはそういうコミュニケーションを当たり前に受け入れてくれる監督だし、だからチームに風通しのいい雰囲気が流れているんだと思います」

 そしてもうひとつは、自身が若い頃から見てきた、リスペクトしてやまない広島のレジェンドたちの姿を今も心に焼きつけているから。いつの時代もレジェンドたちが見せてきてくれた「チームのために戦う」姿は、広島にとってかけがえのないDNAだと塩谷は言う。

「昨年、引退した青さん(青山敏弘コーチ)しかり、歴代の先輩たちは選手としてはもちろん、本当に人として尊敬できる人ばかりでした。彼らはどんな時も『チームのために戦うチームでいよう』という姿を先頭に立って示してきてくれました。

 その背中を見て、僕もあんなベテランになりたいと思っていたし、この歳になった今は、その先輩たちが紡いでくれたDNAを自分もしっかり表現したいな、と。それも僕が広島でプレーする責任のひとつだと思っているし、若い選手がまた引き継いでいってくれたらうれしいです」

 特に近年はその思いがより強くなっているという。それは、いつかは訪れる"引退"も意識してのことなのか。尋ねたところ「いつか、どころか、ここ数年は引退のことをめっちゃ考えてます」と切り出した。

「変な言い方ですけど、近年はいつやめてもいいなと思いながらサッカーをしていますし、何なら広島に戻ると決めた時には、タイトルをひとつ獲ったらやめてもいいかなと思っていました。そしたら、復帰してすぐの2022年にルヴァンカップを獲れたんです。でも、さすがにまだ体も動いていたし、もうひとつ獲れるように頑張ろうと思っていたらすぐには実現せず......結果、今に至ります(苦笑)。

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