【Jリーグ】今の鹿島アントラーズの布陣は「4-4-1-鈴木優磨」 水沼貴史&平畠啓史が語り尽くす (3ページ目)
【キャラクターが際立つ大切さ】
平畠 今シーズンここまで33試合で9ゴール5アシスト。全試合に出場していますし、もう欠かせない選手ですよね。それとこれぐらいタイトルに対しての思いが強い選手って、なかなかいないんじゃないかなと思いますよ。
水沼 海外から帰ってきて、自分が何をチームにもたらすかといったらタイトルだと思っていて、でも監督がいろいろ変わるなかでなかなか結果が出なかった。自分がやらなきゃという責任感をすごく感じている。三竿健斗みたいなリーダーもいるけど、またちょっと違うタイプ。
それで、あまりいい内容じゃなかった試合の後に、「このままじゃダメだ」って言って空気を変える力があるのは彼です。それは大事なんですよ。いい時ほど空気を変える。慢心は絶対ダメだし、現状の内容に満足しても当然ダメだし、向上して強くなっていくと。そうして全体を引き締める空気にする力を持っていますね。
平畠 まあ、ユースチーム育ちというのはあるけど、これだけタイトルを獲りたいって前面に出す選手はなかなかいないですよね。自分のことはあんまり言わないじゃないですか。「いや、俺点取りたいです」というよりも、「このチームを優勝させたいんです」「タイトル獲りたいんです」って言う。そういうところ、僕はすごい好きですね。
水沼 キャラクターもそうだし、チームからも愛されている選手だし。「やんちゃだけど、いいやつだよね」とか、そういうなんか裏表がないみたいな感じがするじゃないですか。やっぱり何をもたらさなきゃいけないかというのは、一番感じているよね。
平畠 あの髪型もそうですし、色もそうですし、パンツのまくり方、あの動き方。やっぱり3万も4万も入るスタジアムでぱっと見た瞬間に、「ああ、鈴木優磨おる!」ってわかるじゃないですか。それがすごく大事だと思うんですよ。スタジアムに行った子どもはうれしいと思いますよ。
水沼 目立つということは、プレーでしっかりしないと逆に目立ってしまうこともある。目立つ格好をして自分を見てほしいっていうのは、相当自信があるのと自分に責任を負っているということ。全部自分にベクトルを向けているのが、またすごいですよ。
平畠 Jリーグにこれぐらいキャラクターの強い選手、どんだけいますか? っていう話なんです。やっぱりキャラクターが際立つ選手が、もっと増えていったほうがいいかなと僕は思っています。
でも、この鈴木優磨選手がタイトルを獲った時に、どんな顔をするのかとか、何をしゃべるのかみたいなのは、すごく楽しみですね。泣くのか? とか。
水沼 泣く? あ、でも泣くな。
平畠 でも、それがわからないじゃないですか。雄叫びをあげまくるかもしれないし。
水沼 たぶん全部やりますね。
著者プロフィール
水沼貴史 (みずぬま・たかし)
1960年5月28日生まれ。埼玉県出身。浦和南高校、法政大学で全国優勝を経験。JSL日産自動車でも数々のタイトルを獲得し、チームの黄金時代を築いた。日本代表では国際Aマッチ32試合出場7ゴール。Jリーグスタート時は横浜マリノスで3シーズンプレー。引退後は、横浜F・マリノスのコーチや監督を務めた。現在は解説者として活躍中。
平畠啓史 (ひらはた・けいじ)
1968年8月14日生まれ。大阪府出身。芸能界随一のサッカー通として知られ、サッカー愛溢れる語り口が人気で、多くのサッカー関連番組の出演中。平畠啓史Jリーグ56クラブ巡礼2020 日本全国56人に会ってきた」(ヨシモトブックス)など、サッカー関連の著書も多い。
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