「キャプテン中のキャプテン」ジェフ千葉の鈴木大輔が今なお「青春ど真ん中!」的なノリを持ち続けるわけ (3ページ目)
「僕は何より、試合に勝ったあとにみんなで喜ぶのが、とにかくめっちゃ好きなんです(笑)。高校時代に『選手権に出て、優勝するぞ!』って目指していたあの感じ? 仲間と一緒に『青春ど真ん中!』的なノリを、今も毎年、更新し続けています。
だって、その時々の目標に向かってみんなで本気で取り組んで、ポジション争いだとかいろんな競争に立ち向かって、シーズンが終わったらみんなで飯を食って、酒を呑み『うわぁー、今年も絆が深まったなー!』で終わるって、最高じゃないですか! ってか、僕はその瞬間が一番好きでサッカーをやっている。
もちろんある意味、"個人事業主"が集まるプロの世界においては、ことさらそれが難しいのは僕もわかっています。それでもやっぱり、みんなで戦い、みんなで目標に向かい、みんなで達成して喜びたい。いつもそう思っています」
しかも、幼少期からそのマインドを持ち続けているというから驚きだ。家族といても、学校のクラスのなかでも「誰かが(輪から)こぼれるのが嫌」で、いつもその"架け橋"的な役割を買って出る子どもだった。
「兄が結構ヤンチャだったのもあって、子どもの頃からなんとなく『自分が兄と同じことをしていたら家族がうまくいかなくなる』みたいな空気を感じ取っていた気がします。だから、兄と親が少しギスギスしていたら、子どもながら間を取り持つような立ち回りをすることも多かったです。
学校でも、つまらなさそうにしている友だちがいたら、その子のところに行ってみんなの輪に入れるようにコミュニケーションを取っていました。それによって、クラス全体が、家族が、チーム全員が仲よくなって『やっぱ、これが最高だよね!』みたいな。
とにかく、家族もクラスも、その輪にいる誰かが不満を抱えている姿を見たくなかったんだと思います。それが大人になった今も続いているので、もはや生まれ持っての性格ですね」
もっともチームづくりにおいて、それがすべてだと思っているわけではない。結果を導き出すためには、チームが目指す方向性や戦術に一貫性が必要だと思っているし、裏を返せば「それをなくして勝ち抜けるほど甘い世界でもない」とも言う。
監督、スタッフと、選手との信頼関係がチームづくりを左右することも百も承知だ。それでも、ギリギリの戦いを勝ちに転じる最後のひと押しになるのは、今の千葉で言うところの、J1昇格争いというデッドヒートを勝ち抜くための、最後のピースは「まとまったもん勝ち」だと語気を強める。
「どんなにいい戦術があって、どんなにいい選手がいても、ひとりでは戦えないのがサッカーなので。さっき話した選手層にもつながる話ですけど、長いシーズンを勝ち抜くには、必ず最後はチームワークがものをいう。
だからこそ、出ている選手、出ていない選手に関係なく、全員が目の前の試合に対して、常に当事者意識を持てるチームになりたい。そんなふうに試合に出ている特定の数選手だけではなく、年齢、キャリア、出場数による優劣なく、みんなが『自分のチームだ』と思って戦えるようになった時に、必ず望んだ結果が手に入ると思っています」
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