「キャプテン中のキャプテン」ジェフ千葉の鈴木大輔が今なお「青春ど真ん中!」的なノリを持ち続けるわけ (2ページ目)
アキレス腱断裂から復帰した今シーズンは、開幕戦からメンバー入りを果たし22試合のピッチに立ってきた。
「アキレス腱を切った時は引退もよぎりました。同じケガをしたことのある選手に連絡を取って話を聞いても、本来の体に戻るには最低でも1年はかかると聞いていたし、復帰できたとしても、自分が納得のいく状態に持っていけるのかも不安でした。でも、結果的にリハビリもスムーズに進んで、わりと早く戦列に戻れたし、試合に出たことで戻ってきた感覚もたくさんあって、それをまた自信にしながら"戦える自分"を取り戻せた気がしています」
7月半ば以降は、鳥海晃司や河野貴志らとのポジション争いのなかで控えメンバーに回る試合も多かったが、その状況に揺り動かされることもなく、その胸に宿る"自信"にも揺らぎはない。むしろ、その競争を楽しんでいるようにすら見える。
「2021年に千葉に加入して、このステージに身を置いて気づいたんですけど、J1に昇格するチームはどこも、2チーム作れるくらいの選手層に厚みがあるというか。夏場に疲弊してとか、後半戦に入ってケガやコンデションを落とす選手が出てくるといった状況に陥っても、代わって出た選手が戦力を落とさずに戦って、厳しい競争を勝ち抜いている。
そこを基準に考えると、35歳という年齢の僕が『全試合出場しました』というのは、チームにとっては決して誇らしいことではないと思うんです。もちろん、僕自身はそこを目指しているんですよ。そのために日々、最大限を注いでもいます。でも現実問題、全試合でベストコンディションをキープし続けるのは不可能というか。
どの選手にも言えることですけど、試合に出続けていたら当然疲労も出るし、時に理想どおりに体が動かないこともある。そういった時に、ポジションを取って代わる選手がいかに結果を残せるか。その準備をしているか。それによってチーム力を落とさずに戦えるかが長いリーグ戦では特に大事になってくる。
なので、自分が試合に出ていない状況をネガティブに考えることはいっさいないです。実際、(河野)貴志だって、僕が前半戦、試合に出ていた時期に虎視眈々と準備をしていたから今の彼がいるわけで、そう考えても本当にいいチームになってきたと思っています」
それが心からの言葉であることは、仲間の証言からも明らかだ。チーム最年長で、千葉在籍はトータルで14年目を数える米倉恒貴は、鈴木のキャプテンシーへの絶大な信頼を言葉に変える。
「(鈴木)大輔はどんな時も、前向きな発言しかしないし、話す言葉にも熱があって、チームや仲間への思いも深くて、自然とみんなが引き寄せられていく。どんな状況に置かれても、同じテンションでチームのために頑張り続けることができる、みんなのお手本。キャプテン中のキャプテンです」
では何が一体、鈴木をそこまでまっすぐにサッカーに向かわせるのか。チームや仲間を思いやれるのだろうか。間髪入れずに「それが青春だからです!」と返ってきた。
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