キングカズが現役でいてくれる幸せ 田原俊彦ダンス、永島昭浩とのハグ...「楽しくなければサッカーじゃない」 (3ページ目)
【シンガポールから会いにきた記者も】
試合後のセレモニーではMIP賞を獲得。敬愛する田原俊彦の笑い方で喜びを表現して、両軍選手たちの輪に戻ると、カズは深々と頭を下げた。
「楽しくなければサッカーじゃない」
これがサッカーだと言わんばかりの、ただのサッカー少年がそこにいた。
「今日はエキジビションですからね。正規のカズダンスはリーグ戦用にとっておきます。PK? エキジビションですから(笑)。気楽に蹴りました。お客さんが楽しんでくれてよかったです」
いやいや、あの状況で無心で蹴ることができるアナタは、やはりキングなのですよ。正真正銘の。
キャプテンマークはカズから永島へ photo by ©️ヤナガワゴーッ!この記事に関連する写真を見る 試合後のミックスゾーンでも、カズは晴れやかな顔で対応している。
そんなカズに「30年前にテレビで見てから、ずっと憧れていました!」と声をかけている記者がいた。彼はシンガポールから来たJunさんというサッカージャーナリストで、緊張のあまりカズとあまり会話できなかったというが、筆者にこう話してくれた。
「30年前にイングランドで行なわれたアンブロカップでのカズさんのプレーを見てからずっと憧れていて、サッカージャーナリストになってやっと今日、初めて生でプレーを見ることができました。すばらしかったです! 次は鈴鹿の試合も行きたいです! いつ試合に出ますか?」
ここで、考えてしまった。鈴鹿に取材に行っても、カズはベンチ入りこそすれ、試合に出ていないからだ。
先日行なわれた自身のプロ40周年特別記念試合(JFL第15節vsヴィアティン三重戦@7月7日)では、今季初スタメンでプレーして存在感を発揮した。しかし、ふだんは出場機会がなくとも「監督には監督の考えがあるから」と誰に異を唱えることなく、体調管理に日々勤しんでいる。
トレーニングを40年間、変わらず続けていることは、周りの人間ならみんな知っていることだ。準備は整っていると。だからこそ今回、エキジビションマッチとはいえ、ノエビアスタジアムの大歓声のなかでキレのあるプレーを目の当たりにして、あらためて「カズのプレーをもっと見てぇ!」と感じた人はたくさんいるはずだ。
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