【Jリーグ】キャンプを見て確信! 今年躍進が期待できるクラブはココだ (3ページ目)
【昨年からの変化を感じる各クラブ】
河治良幸(サッカーライター)
浦和レッズ
組織的な守備の構築に定評のあるマチェイ・スコルジャ監督だが、昨年の途中就任後に露見してしまった得点力不足を解消するべく、ポゼッションベースで相手を押し込むサッカーに転換していた。
そのキーマンになるのが、昨シーズンの終盤は主に"10番"と呼ばれるトップ下でプレーしたMF渡邊凌磨だ。運動量が豊富で、戦術眼も高い渡邊がボランチから幅広く攻守に絡むことで、活性化を図ろうとしている。
スコルジャ監督は2023年にも、二枚のボランチに"ダブル8番"とも言える攻撃的な役割を与える構想は持っていたが、その時はACLファイナルが大目標にあり、年間60試合という未体験の過密日程によって、なかなか実現できなかった。また昨年は途中就任で、しかも守備の立て直しをクラブから求められたこともあり、攻撃面の構築がパワーダウンしてしまった経緯もある。
今年は攻守のバランスをかなり前向きにすることに加えて、やはりマテウス・サヴィオ、金子拓郎、松本泰志というMFに三枚のビッグピースを加えられたのも大きい。選手層の薄さが目につく最終ラインにはダニーロ・ボサを獲得。昨年の13位からジャンプアップが可能だ。
RB大宮アルディージャ
レッドブルの完全買収で、クラブ名やエンブレム、ユニフォームのメインカラーも変わったことが話題になっているが、現場レベルでは長澤徹監督が昨シーズンから引き続き指揮することもあり、攻撃の大黒柱であるFW杉本健勇も「今のところ大きな変化は感じていない」という。
むしろ、親会社の力強いバックアップが確約されたことで、安心してプレーに集中できているようだ。2年ぶりのJ2となるが、若手、中堅、ベテランがバランスよくミックスされており、新戦力も京都サンガF.C.から加入したFW豊川雄太、カターレ富山のJ2昇格に大きく貢献したMF安光将作など、着実にプラスをもたらしそうな選手が多く、トレーニングでも生き生きした表情を見せていた。
"昇格組"とは言っても、J2を経験している選手が多いので、相手の強度やタレント力に戸惑うこともないだろう。U-20日本代表キャプテンのDF市原吏音が、最大で2カ月代表活動に取られることは多少響くかもしれないが、筑波大でキャプテンを担ったDF福井啓太が早期に台頭してくれば、十分にカバーは可能だろう。
栃木SC
小林伸二監督の熱血指導で、若い選手たちがうまくなろうとしている前向きな空気が伝わってくる。かつて率いたギラヴァンツ北九州で旋風を巻き起こしたように、コンパクトでタイトな守備とアグレッシブにアタッカーが躍動するサッカーは、練習試合でJ2の北海道コンサドーレ札幌を相手にしてもポジティブな印象を受けた。
注目は浦和レッズから育成型期限付きで移籍してきたMF堀内陽太と、昨年までJ2のレノファ山口でプレーし、川崎フロンターレから育成型期限付き移籍のFW五十嵐太陽だ。
他にも6人の大卒ルーキーをはじめ、20代前半の有望なタレントが多いことも、栃木SCの特長。彼らは栃木で成長して、ゆくゆくはJ2やJ1、あるいは海外に巣立っていくかもしれないが、栃木を1年でJ2復帰に導く大きな力となれるか期待して見守りたい。
また栃木シティという同県のライバルが誕生したこともあり、中核市の宇都宮に拠点を置くクラブとしても、このままずるずると落ちていくわけにはいかない。
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