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日本サッカーを見続けて35年 ゲルト・エンゲルスが「対戦してやりづらかった」プレーヤー5人は誰? (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【ジュビロ黄金期を支えたボランチ】

── 遠藤選手をルーキー時代から見ていたのですね。

「遠藤はね、過去のドイツの選手で例えるなら、レアル・マドリードなどで活躍したトニ・クロース(2024年引退)です。マークをしても、何をしても、なかなか捕まえられない。

 攻撃でも顔の出し方が上手で、マンツーマンをしたところで、うまく抑えることはできない。遠藤を抑える方法がなかなか見つからなかったので、彼から直接ボールを取るのではなく、彼が出すパスの受け手を抑えることが一番いいパターンなんだと思いました」

── 遠藤選手の攻略法ですか。

「でも、遠藤はその先の先まで見えているんですよね。受け手がプレッシャーを受けて難しくならないように、その選手が次に生きる、仕事のできるパスを出すんです。それは優しさとも言えるかもしれません。

 たとえばウォーミングアップで、受け手が次にパスする相手を言ってから出すゲームをやると、遠藤のパスのクオリティはほかの選手と全然違っていましたね。ヤットがいた時代のガンバが強かったのは当然です。崩すことができなかった」

── 興味深い話です。

「そして4人目は、これまで挙げた選手とちょっとタイプが違います。ジュビロ磐田時代の福西崇史です。6番(ボランチ)でバランスに専念する、ストッパーに近いタイプでしたね。今はああいう選手は減っちゃったかも」

── 福西選手もやりづらかったですか。

「彼のプレーは『汚い』と言ったら語弊があるかもしれないけど、ピッチでは激しい選手でした。日本人には少ないタイプでしたね。あの頃のジュビロは藤田俊哉がいて、中山雅史がいて、服部年宏がいて、最後まで戦う選手がそろっていた。だから強かった。でも、やっぱり福西が中盤にいるのが相手チームとしては一番イヤでしたね」

── 福西選手がボランチにいると、実にやっかいだったでしょうね。

「イビチャ・オシムさんが『水を運ぶ人』って言っていたけど、ドイツ語にもそういう表現があって、まさにピッタリだなと思います。今のドイツ代表だと、バイエルンのレオン・ゴレツカが似ています。ポジションは下がり目だけど、前に行く雰囲気も見せつつ、中央にドンと構えている。対戦相手としてはこの中盤をどう攻略するか、頭を悩ませるポイントですね」

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