梅崎司が浦和レッズで過ごした10年間「埼玉スタジアムが揺れる感覚は、ほかには代えがたい瞬間」 (4ページ目)
【梅崎から渡邊凌磨へ引き継がれたチャント】
── 第2戦は試合終了間際に交代出場して、優勝をピッチの上で迎えました。
「ACLの決勝だけは、埼玉スタジアムもいつもと雰囲気や緊張感が違いますからね。浦和にとって10年ぶりのアジア制覇で、一番ほしかったタイトル。試合前の雰囲気も含めて、その瞬間、瞬間を味わえたことは、財産になっています」
── その10年を振り返って、駆け巡る思いとは?
「自分自身が大きな野心を持って浦和に行き、ファン・サポーターから認められた瞬間も含め、何度も大きなケガを繰り返して、心が折れそうになった記憶もよみがえります。そのたびに応援し続けてくれたファン・サポーターがいて、支えてくれたクラブスタッフがいたおかげで、復活できたり、成長できたりしました。
時には、自分の野心や取り柄が薄れていた時期もありましたけど、あそこでもがき続け、生き残ろうとしたから、今の自分はいると思っています。
あの埼玉スタジアムで、自分が試合を決めると思ってプレーした時に、ゴールを決めて、スタジアムが揺れる感覚は、ほかには代えがたいエモーショナルな瞬間でした。自分が好きなその瞬間をエネルギーにして、僕はサッカーをしているんだなと思っていました」
── 浦和では、梅崎選手のチャントが渡邊凌磨選手に引き継がれているそうですね。
「たまたま、浦和駒場スタジアムに試合を見に行った時に、そのチャントがお披露目になったんですよ。その幸運にも縁を感じました。
彼自身は、ものすごく力のある選手なので、僕のチャントが引き継がれているのは申し訳ないというか、僕のチャントでいいのかと、おこがましい気持ちですけど。
彼自身は埼玉県の出身で、幼いころから浦和レッズが好きだったことも聞きました。いろいろな思いを背負って、浦和レッズに来てプレーしている。そうした熱い思いも含め、さらに輝いてほしいなと思っています」
(つづく)
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【profile】
梅崎司(うめさき・つかさ)
1987年2月23日生まれ、長崎県諫早市出身。2005年に大分トリニータU-18からトップチームへ昇格し、翌年にはレギュラーに定着。同年8月には日本代表デビューを果たす。2007年1月にフランス・グルノーブルに期限付き移籍でプレーしたのち、同年12月に浦和レッズに移籍。2018年から湘南ベルマーレ、2021年から大分トリニータで活躍し、2024年11月に現役引退を発表した。ポジション=MF。身長169cm、体重66kg。
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。
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