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梅崎司が浦和レッズで過ごした10年間「埼玉スタジアムが揺れる感覚は、ほかには代えがたい瞬間」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【浦和サポーターに認められた瞬間】

── プレーに人間性が表れていたから、見る人を引きつけていたのではないでしょうか?

「これはサッカー選手としての自分の財産だと思っているのですが、大分も、浦和も、湘南も、出会ったファン・サポーターの人たちが本気で自分を応援してくれていたことでした。

 僕のプレーに対して僕以上に喜んでくれるし、僕以上に悲しんでくれる。ケガをした時には、僕以上に落ち込んでくれていた。時には、僕に自分の人生を乗せてくれているような感覚があって、引退を決意した時、そのおかげで自分自身を誇ることができました。

 この20年間、いいことばかりではなく、苦しいこと、つらいことのほうが多かったですけど、それでも真摯に取り組んできて、全力で挑んで、全力で走って、全力で戦い抜いたなっていう自分の足跡がはっきりと見えました。うん。自分はこの生き方ができてよかったなって」

── 浦和のサポーターは選手を厳しい目で見ることで知られていますが、梅崎選手にも認められた瞬間はあったのでしょうか?

「ありました。今でもはっきりと覚えています。アウェーでのジュビロ磐田戦(J1第5節/2008年4月2日)でした。

 第4節まで途中出場だったのですが、第5節で初めて先発する試合前に自分のチャントを歌ってくれて......。認めてもらえているとは思っていなかっただけに、その信頼に応えるためにも、絶対に勝利しよう、自分を見せようと思ったことを昨日のことのように覚えています」

── 10年間を過ごした浦和での日々で思い出すことはありますか?

「たくさんありますけど、2017年にACL(AFCチャンピオンズリーグ)で優勝したことは思い出します。そう簡単に見ることのできない景色でしたから。アル・ヒラル(サウジアラビア)とのアウェーで戦った決勝も異様でしたからね」

── その雰囲気に怖じ気づくことはなかったのでしょうか?

「いや、やっぱりビビりましたよ(笑)。でも、第2戦をホームで戦える強みもありましたし、その強みがプラスに働いたと思っています」

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