Jリーグ優勝争いは混沌として後半戦へ 町田、鹿島、G大阪、神戸、広島......いずれも不安要素あり
J1は後半戦がスタート。J2からの昇格組のFC町田ゼルビアが首位ターンを決め、鹿島アントラーズが追う展開だが、優勝争いは混沌とした様子だ。熾烈な残留争いも含め、各クラブの状況を追った。
【首位ターンの町田は主力離脱を乗りきれるか】
J1リーグも前半戦を折り返し、後半戦がスタートした。昇格組でJ1初挑戦のFC町田ゼルビアが首位ターンをしたことはサプライズであり、快挙だ。それに続いて2位に鹿島アントラーズ、3位にガンバ大阪、4位にヴィッセル神戸、5位にサンフレッチェ広島と、守備に安定感のあるこの5クラブが優勝争いをリードしている。
J1優勝争いは混戦。6月26日の神戸対町田は0-0のドローだった photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 首位の町田は、よく統制されたタイトな守備から前線の高さ、スピードを生かしたショートカウンターを武器に12勝4分4敗で勝ち点40。昨季の神戸が同じ試合数を消化した時の勝ち点が43だったことを考えると、十分に優勝ラインだ。
ただ、順調に勝ち点を積み上げてきた町田だが、夏場を迎えるにあたって厳しい台所事情に直面している。天皇杯の筑波大戦で、DFチャン・ミンギュ、MF安井拓也、FWナ・サンホ、FWミッチェル・デュークと4人が負傷離脱。さらに同時期に行なわれた韓国代表戦でFWオ・セフンが負傷して帰ってきた。
とくにオ・セフン、デュークの高さは町田にとって重要な戦術の柱で、ナ・サンホの突破力、積極性は大事な攻撃カードだ。直後の横浜F・マリノス戦は3−1と勝利したものの、その後のアビスパ福岡戦、ヴィッセル神戸戦で0−0のスコアレスが続いた。彼らを欠いて攻撃で迫力を失ったことは否めない。
また、パリ五輪代表候補で攻撃の要であるFW藤尾翔太、FW平河悠を7月中旬から長ければ8月上旬まで失う可能性もある。後半戦では相手からの対策云々の前に、主力が戻るまでの7月から8月にかけて、移籍期間の補強も含めてどのように乗りきるかが、町田が優勝争いに踏みとどまるための正念場だろう。
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著者プロフィール
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。