Jリーグ優勝争いは混沌として後半戦へ 町田、鹿島、G大阪、神戸、広島......いずれも不安要素あり (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【降格圏クラブの共通点は守備の脆さ】

 一方、残留争いでは降格圏に20位北海道コンサドーレ札幌、19位京都サンガF.C.、18位湘南ベルマーレの3クラブ。共通するのは守備の脆さである。

 とくに札幌は20試合で40失点。昨季もリーグ最多失点だったが、それとほぼ同ペースだ。昨季はそれと同等の得点数が取れていただけによかったが、今季は16得点で得点力が激減している。

 ただ、それは単に攻撃力の低下というよりも、戦術の肝であるマンツーマンが全く機能していないことが原因だろう。昨季は前から激しいマンツーマンの守備によって、いい形でボールを奪って攻撃に繋げるのが札幌のストロングポイントだった。

 しかし、そのマンツーマンが曖昧で機能せず、相手に大きなスペースを与えて押し込まれる、あるいは裏を簡単に取られることで、いい攻撃に繋げることが難しくなっている。夏の補強が重要であるのは間違いないが、守備の強度が上がらない限り、この状況は続きそうだ。

 京都も札幌と同じく、得点力の低さが致命的だが、湘南に関しては得点が奪えていて、戦い方も整理されている。それだけに町田戦以外すべての試合で失点している守備の不安定さを解決できれば、降格圏脱出は見えてくるはずだ。

 優勝争いにしても残留争いにしても、これから迎えるハードな夏場をどう乗りきるか。毎年、この時期の補強によって大きくチーム状況が変わることは珍しくなく、各クラブが移籍期間にどう動くのか、目が離せない。

プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る