柏木陽介が「阿吽の呼吸」で好きなFWベスト5「パサーとしての原点を叩き込んでくれた恩人」 (2ページ目)
【普通の人では届かないようなパスも出した】
── 具体的に言うと?
「ピッチ上だけではなく、日常から僕とコミュニケーションを取ろうという気持ちがあったと思うので、よくご飯に連れていってくれましたし、グアムでの自主トレにもタダで連れて行ってくれたりとか。そういうことをしてくれると、出し手側はもっといいパスを出したいという欲が高まってくるんですよ。
そういう部分も含め、いろんなことを教えてくれた人なので、寿人さんがいなければその後のキャリアをうまく築けなかったかもしれない。パサーとしての原点を叩き込んでくれた恩人ですね」
── ふたり目は誰になりますか?
「誰もが絶対に挙げるだろうと思っているでしょうけど、興梠慎三です。彼も動き出しがすごいし、技術もあるし、もちろん一瞬のスピードもあるんですけど、一番すごいのはこっちが蹴れる体勢の時に動いてくれること。そこまで待ってから動いてくれるから、やりやすかったですね」
── そういうタイプはあまりいない?
「いないと思いますよ。どちらかというと、自分のタイミングで動き出すFWが多いから。さっき言ったように、寿人さんはまさにそういうタイプ。
それによって鍛えられたし、いろんなパスを出せるようにはなったんですけど、慎三の場合は僕が持ったら動く準備をしていて、出せるタイミングになった瞬間に、一気に動き出す。もちろん、ほかの人が持った時も動いているけど、僕が持った時は必ず動き出すっていう意識がたぶんあったんじゃないかなと思います」
── 興梠選手にはどういうパスを意識していましたか。
「慎三だからこそ出せるパスっていうのがありましたね。普通の人では届かないようなパスでも、慎三ならいけるやろって感じで出したパスも多いですから(笑)。
なんというか、慎三の動きに導かれる感じですね。『俺だったら間に合うぞ』って言われているような感覚です。それによって自分もいろいろと引き出されたところもあったと思います」
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