横浜F・マリノス、ACL大敗の根本的要因 現在のJリーグを象徴する戦力差があった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【Jリーグで下位に低迷する理由】

 横浜FMの敗因を語る時、なにより畠中とポープが犯したふたつの反則を挙げたくなる。しかしそれ以上に、見逃すべきでないのは、もっと根本的な点で両チームの間にあった力の差だ。

 アンデルソン・ロペス、ヤン・マテウス、エウベルの攻撃陣3人は、Jリーグにおいては一番と言ってもいい顔ぶれである。さらにはGKポープ、この日は故障明けで先発を外れたDFエドゥアルドと、外国人選手を5人揃えている。さらには前節FC東京戦でケガをしたナム・テヒもおり、外国人枠は満たしている。

 だが、アルアインの外国人選手はそれを凌駕していた。モロッコ(ラヒミ)、パラグアイ(アレハンドロ・ロメロ)、アルゼンチン(マティアス・パラシオス)、トーゴ(コジョ・ラバ)、韓国(パク・ヨンウ)、コートジボワール出身者もふたりいる。第1戦ではマリ代表のアブドゥル・トラオレも活躍していた。

 選手の国籍はバラエティに富んでいた。この日ピッチに立ったフィールドプレーヤー4人の外国人選手すべてがブラジル人である横浜FMと比較すると、違いは鮮明となった。

 無国籍色が強い多国籍軍。アルアインにあるそうした国際色は、横浜FMのみならず、Jリーグの各クラブに不足する要素だ。外国人選手といえばまずブラジル人ありき。この組み合わせに見慣れた我々日本人の目には、アルアインが備えるリズム感、躍動感、大胆さ等々が、新鮮に映った。

 さらに物足りなく見えたのは交代カードの弱さだ。白坂楓馬、榊原彗悟、山根陸、宮市亮と、前述のエドゥアルドのほかに4人の日本人選手が投入されたが、いずれもインパクトに欠けた。層の薄さを痛感させられる交代だった。Jリーグで下位に低迷する理由と言ってもいいだろう。

 アルアインはこの試合を前にした国内リーグで、選手をすべて入れ替えて戦っているのに対し、横浜FMは前戦のFC東京戦を、この日とほぼ同じメンバーで戦っている。選手を入れ替えて戦う戦力的な余裕がないからである。

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