ガラっと変わったJリーグ勢力図を分析 福田正博「共通点は縦に速く、強度の高いサッカー」 (4ページ目)
【横浜FM、川崎は波のある戦いぶりで苦戦】
一方で気になるのは、一昨シーズンまでJ1のトップに君臨していた神奈川の2クラブだ。
横浜F・マリノスは、ハリー・キューウェル新監督のもとでスタメンをターンオーバーしながら戦ってきたが、それをどこまで続けるのか。今季の横浜FMは試合数が多く、タイトな日程になるため、そこへの対策なのは理解できる。だが、結果が伴わなければ選手たちのモチベーションが低下する危険性はある。
現状は13位だが、試合消化数で他チームよりも2試合少ない。今季の優勝争いは混戦になる気配が漂っているだけに、その2試合でしっかり勝ち点6を積み上げて、上昇への足がかりにしてもらいたいと思う。
川崎フロンターレは苦しい状況だ。華麗なパスワークと選手の連動によって黄金期を築いたが、その主力選手たちがことごとく移籍したのだから当然ともいえる。そこからの立て直しとなっているだけに、鬼木達監督にとっても難しい判断が迫られるシーズンになっている。このままだと残留争いに巻き込まれても不思議ではない。
川崎が苦しいのは攻撃だけではなく、守備でも試合ごとに波が大きい点だ。守備に不安があれば安定した成績を残すことが難しい。ここの改善が急務だろう。
そこで提案したいのは、センターバックの補強になる。たとえば谷口彰悟(アル・ラーヤン)の再獲得だ。DFラインでリーダーシップを発揮でき、中盤とGKをつなぐ役割もしっかりつとめられる。最終ラインでジェジエウの存在が際立っていたのも、谷口がいたからこそ。それだけに彼を獲得できれば、DFラインに安定感を取り戻せるし、そこから攻撃陣の再構築が図れると思うのだが......。
J1の第15節終了時点で、首位・町田の勝ち点は32。10位の柏レイソルでも21を積み上げている。序盤戦の各チームの出来を見れば、今シーズンの優勝争いは混戦で例年よりも低めの勝ち点で争われそうな気配がある。
残り20数試合で一気に波に乗って、連勝するチームが出てくることもあるだろう。どこのチームにもまだ優勝や上位を狙うチャンスがあるだけに、これからのJ1の動向にしっかり注目してもらいたい。
著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。
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