ベテラン藤春廣輝の気づきとマインドの変化「キャリアを積むうちにチームのなかでの自分を考えるようになった」
ベテランプレーヤーの矜持
~彼らが「現役」にこだわるワケ
第3回:藤春廣輝(FC琉球)/後編
チームにはすぐに溶け込んだ藤春廣輝(写真右から4番目)。photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【"一匹狼"から面倒見のいい"兄貴分"へ】
FC琉球への移籍から5カ月。移籍した当初こそ、生活面でのさまざまな"初めて"に右往左往した藤春廣輝だったが、チームにはすぐに適応してみせた。ここまでのJ3リーグには13試合すべてにフル出場。ほとんどの試合を3バックで戦うなかでは、本職の左サイドバックではなく、左のセンターバックとして新境地を開拓している。
「左サイドバックとしてプレーしたガンバ大阪時代は、ヤットさん(遠藤保仁)やシュウ(倉田秋)にボールを預けてオーバーラップをするという攻撃的なプレースタイルでしたけど、今は鍾成さん(金監督)から、縦に早くボールをつけながらビルドアップをする役割を求められているので。以前とは違うプレースタイルになっていますけど、試合をコンスタントに戦えているのが本当に楽しくて仕方がない。
去年はあまり公式戦に絡めなかったこともあり、当初は正直、中2~3日の連戦をホンマに乗りきれるかなと思っていた自分もいたけど、体が連戦を覚えていたというか。過去には今よりもっと過酷な連戦を乗り越えてきた経験値のおかげで、疲労を感じることなくプレーできています」
また、若い選手が多い琉球で、フィールド最年長選手としてプレーすることで、過去とは違った気づきも得られていると、充実感をのぞかせる。
「20代の頃は、自分の好きなプレー、やりたいプレーをやっていただけだったというか。守備より攻撃でしょ、とガンガン攻め上がるばかりだったけど、琉球でプレーするうちに......あるときふと、『そうやって自分が自由にプレーできていたのは、いつも僕がプレーしやすいように、逆サイドにいる右サイドバックの加地(亮)さんがバランスをとってくれていたからやったんや』って気がついたんです。だから、自分はノビノビとプレーできていたし、活かされるシーンも多かったんやな、と。
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