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ベテラン藤春廣輝の気づきとマインドの変化「キャリアを積むうちにチームのなかでの自分を考えるようになった」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 以来、チーム全体のバランスを見ながらプレーすることをすごく意識するようになったというか。特に若い選手が多い琉球では、自分がそういう役回りをする必要性も感じています。といっても、不思議なもので、自分らしさを封印しているとか、やりたいことを我慢しているって感覚は全然ない。素直に、チームが勝つためにこれをしようと受け入れられている。これも、ガンバでの13年間があってこそだと思っています」

 事実、"チーム"での自分を意識することが増えたのは、ここ数年の彼に顕著に見られたマインドの変化によるところも大きいのかもしれない。

 というのも、30代に突入した頃から藤春は、目に見えてピッチの内外で「チームのために」行動することが増えた。とりわけ、若い選手や外国籍選手の面倒見がよく、彼らから何度「ハルくん(藤春)に助けてもらった」という言葉を聞いたかわからない。

 同じポジションを争う後輩選手ほど、可愛がったのも印象に残る出来事だ。2022年、自身からポジションを奪う形でレギュラーに定着した黒川圭介がチーム内での年間MVPに選ばれたときも、誰よりもその瞬間を喜び、盛り上げた。

 特別指定選手の大学生が練習参加に来るとなると、大回りしてでも送迎をサポートし、新外国籍選手が加われば、言葉は通じなくとも行動をともにすることも多かった。かつては、「誰かと一緒にいると気を遣って疲れるから、ひとりのほうがラク」だと話すなど、"一匹狼"として知られた藤春が、だ。

 きっかけは、2019年夏にガンバ史上最も長く在籍した外国籍選手、オ・ジェソク(現大田ハナシチズン)がチームを離れたことだったと振り返る。

「ジェソクがガンバを離れるときに、加入したての頃に加地さんにすごくお世話になったという感謝の言葉を口にしていて。『同じポジションのライバルなのに、私生活を含めて常に加地さんが助けてくれたからチームに溶け込めた』と。

 その話を聞いて僕なりに感じるものがあり、だから2019年にキム・ヨングォン(現蔚山HD)が加入したときも......夏にジェソクがいなくなってからはなおのこと、よく一緒にご飯に行ったし、アウェー遠征時は必ずといっていいほど彼の隣にいるようになった。

 以来、いろんな外国籍選手とコミュニケーションを取るようになったし、それは日本人選手に対しても同じで......。若い選手にも自然と目を配れるようになった」

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