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町田ゼルビア、FC東京...U-23日本代表に主力選手を招集された影響は? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【ダメージを最小限にできる町田の戦略】

 代名詞となっているロングスローや、やや遠めからのFKも、そうした戦略のなかでの戦術と言える。欧州のアウェーゲームだったら、ブーイングに襲われるほど時間をかけたスローインも、待ち受ける選手にストレスを与えている。ほとんどがセカンドボールを狙う攻撃だけに、もしヨーロッパのチームだったら局面よりはペナルティアークに人を置く対応をするのだろうが......。

 町田は戦略として、相手の弱点を抉るための原理原則が徹底されている。第7節の川崎フロンターレ戦も、左サイドを一発のパスで抜け出し、走力のまま折り返し、先制ゴールを決めていたが、対面する選手の裏をスピード勝負で制する目算があったのだろう。スピード、高さが各所に散りばめられ、そのインテンシティが高く、相手を裏返せる。ひとりひとりが役割を理解し、体現する点で練度が高く、迷いがない。

 その点で、平河、藤尾のふたりは、戦術的な役割を100%果たせる選手たちと言えるだろう。どちらも戦闘精神旺盛で、プレー強度が高い。言わば黒田監督の申し子だ。

 特に平河は、今季第7節までの「リーグベストイレブン」に相当するような仕掛け、崩しを見せている。直近でも鳥栖戦では無双だったし、川崎が厳重な対策を講じてきたように、戦う前から相手に圧力を与えていた時点で"欠かせない武器"と言える。

 ただ、彼がいなくても町田のチームとしての戦術ベースは変わらない。局面での精度はやや落ちるだろうが、フォーメーションも変更できるはずで、ダメージを最小限にできる。マイナーチェンジで、戦いの算段は立つだろう。

 一方、FC東京のほうは集団よりも個人の力で戦術を運用させていた印象が強い。荒木、松木のコンビがはまり出し、調子を上げていただけに、このふたりのロスは大きく響く可能性がある。

 特に荒木は、昨シーズンまでなぜ燻っていたのかわからないほど、異彩を放っている。ボールを持てるし、運べるし、アイデアを持って仕掛け、強度にも負けない。テンポのずれを生み出すような創造性は傑出しており、平河と同じく「序盤戦のベストイレブン」に値する活躍だろう。1カ月という長いスパンの不在により、戦力ダウンを引き起こすのは避けられない。

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