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遠藤保仁らしい幕引き――「引退するまでは伏せていたい」知られざる戦い「ケガも友だち」 (3ページ目)

  • 高村美砂●文 text by Takamura Misa

 30代後半に突入した頃だったか。夏場だけではなく、寒さ厳しい冬でさえも裸足にスリッパを履いていることを不思議に思い、真相を尋ねた時には、長らく踵痛に悩まされ、試合中は左右違う大きさのスパイクを履いて、踵への当たりを軽減させていると聞いた。

 そのせいで、プライベートでは靴を履かない......というより、「練習後は特に痛くて靴が履けないからスリッパ」なのだ、と。寒そうな足元を見て、「せめて靴下を......」と言いかけたところで、「大丈夫、このあと(車で)京都までパーソナルトレーニングに移動するだけだから」と返ってきた。

「パーソナルで今、取り組んでいるのは体幹と、姿勢のところ。あと、柔軟性。この先はケガをしないことも、ピッチに立ち続けるにはすごく大事になっていくと思うから。

 そのために、鍛える部位もちょっとずつ変えながら、体全体を強くしていくイメージでやっています。痛みはあるけど、この歳までやっていたら、痛いところがあるなんて当たり前。ケガも友だちだと思ったほうがいい」

 ピッチで繰り出されたプレーのすべては、まさしくそうした日々の継続によって生み出された結晶だった。

(つづく)◆遠藤保仁が追求し続けた「サッカーを楽しむ」>>

遠藤保仁(えんどう・やすひと)
1980年1月28日生まれ。鹿児島県出身。鹿児島実高卒業後、横浜フリューゲルス入り。同クラブが消滅後、京都パープルサンガを経てガンバ大阪へ。チームの"顔"として数々のタイトル獲得に貢献した。同時に日本代表でも主軸として活躍。2006年、2010年、2014年とW杯に三度出場。国際Aマッチ出場152試合、得点15。2020年10月にジュビロ磐田へ移籍。2023年シーズンを最後に現役から退く。引退後、ガンバのトップチームコーチ就任が発表された。

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