さようなら広島ビッグアーチ 37歳の青山敏弘は1カ月前から起用を告げられ「本当に涙が出ました」 (4ページ目)
【いいことも、悪いことも、たとえ遠くても...】
この日は、今季かぎりでの引退を表明している林卓人のラストマッチでもあった。日本代表にまで上り詰めた大迫敬介に代わって83分からピッチに立つと、無失点で切り抜けて勝利にしっかりと貢献。試合後のセレモニーでは背番号1を大迫に継承し、感動的なフィナーレを迎えた。
翌日、広島市内を散策し、待望のサッカー専用スタジアムを訪れた。まだ工事中ではあるものの、市内の中心部からもほど近い好立地にある「エディオンピースウイング広島」の外観を眺めながら思い起こされたのは、昨夜に聞いた青山の言葉だ。
「まだ何もできなかった時から、ちょっとずつ成長させてもらって。ケガも多かったけど、実力も、自信もつけて、優勝もさせてもらった。本当にたくさんこのピッチに立たせてもらったし、ここには自分の物語が詰まっている。
今日もまた新しい1ページが刻まれたと思うし、そんな選手は気づけば自分だけだなって。そんな特別な瞬間に立ち会わせていただいて感謝です」
青山だけではないだろう。ビッグアーチには広島の歴史のすべてが詰まっている。いいことも、悪いことも、たとえ遠くても、どんなに見づらくても......。
そして目の前に見えるこの綺麗なスタジアムで、広島の新たな歴史が刻まれていくのだろう。
著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。
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