引退発表の高原直泰 なぜ四半世紀もストライカーとしてピッチに立ち続けられたのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

「ゴールは存在を証明するものですね。ゴールをしないと自分を示せない。ゴールをすることで自分を知ってもらうというか、自分の道標になる。そう考えるようになったのは、アルゼンチンに行ってからですかね(2001年、ボカ・ジュニオルスに所属)。たった半年でしたけど、やっぱりFWはゴールをしなきゃ、と思うようになりました。日本にいた頃から"FWはゴールをしないと次はない"と言っていたけど、それを実感するようになりましたね」

 彼が刻んだゴールの軌跡は、道を作った。今のドイツ、ブンデスリーガで多くの日本人選手が活躍できているのは、高原や長谷部誠がその道を開拓したおかげだろう。先駆者の功績は決して消えることはない。

「子どもの頃からゴールすることしか考えていなかったです」

 そう語っていたストライカー、高原の長い物語がまもなく幕を閉じる。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

フォトギャラリーを見る

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る