ガンバ大阪・山本理仁「簡単に試合に出られる、活躍できるとは思っていない」それでも海外移籍を決意したわけ (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 その"始まり"の先に描くのは、これも以前から彼が目標だと口にしていた、世界五大リーグでの活躍だ。「STVVで結果を残すことが大前提」としながらも、それを足がかりに着実にステップアップを図り、最終的には五大リーグに辿り着きたいと意欲を示す。もちろん、その過程では日本代表に選出され、2026年のアメリカ・カナダ・メキシコの3カ国で共同開催されるワールドカップのピッチに立つというビジョンも描いている。

「この世界は、ひとつのチャンスを生かせるかどうかで、明日の自分の居場所が変わると言っても過言ではないくらい、目まぐるしく動いていきます。だからこそ、所属チームで試合に出られていないとなれば、次はU-22日本代表に選ばれないかもな、って考えちゃうこともあるし、他のメンバーの試合を見て『こいつが活躍しているからやばいな』って危機感を覚えることもあります。

 特に代表は自分が試合に出続けていないと、すぐに序列が変わる場所だと思っているからこそ、本当に危機感しかないです。でも、見方を変えれば、自分が置かれている立ち位置を一日で、一試合で一気に変えられる世界でもあるとも思うので。すべては自分次第だと思っています」

 今年の初め、思うように先発のピッチに立てない時間が続いていた際に話していた言葉を思い出す。東京ヴェルディユース時代からの恩師、永井秀樹(現ヴィッセル神戸スポーツダイレクター)にもらった言葉がいつも胸にあるとも言っていた。

「試合に絡めないのは当然、悔しいですけど、外れたことに動じない自分も大事だと思っているので。プロ2年目、思うようにプレーできない時間が続いた時に、永井さんに言われたんです。『チャンスがこないのは恥じるべきじゃない。チャンスがきた時に自分のパフォーマンスを出せなかったことを恥じるべきだ』と。

 ちょうどジョエル(藤田譲瑠チマ/横浜F・マリノス)が同じポジションに台頭してきたこともあり、自分が他のポジションをしたり、サブになったりした時期で......。焦りもあって、自分にできないことをやろうとして余計にうまくいかなくなるという負の連鎖に陥っていた時に、永井さんがミーティングの最後にみんなに向かって掛けてくれた。それが、当時の自分にすごくハマったというか、めちゃめちゃ響いたし、以来、ずっと頭にあります。

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