日本代表初招集、京都サンガ・川﨑颯太の魅力は「ボールの動きに細やかに反応する軽快さ」だが、試合出場はあるか (3ページ目)
後半39分。試合はすでに決した状態にあったが、この日がラストゲームとなる伊藤と川﨑のマッチアップは続いていた。
伊藤は左足で見事な強シュートを放つも、GK若原智哉に好セーブを許していた。そこから反撃に移る京都は、川﨑が最後の力を振り絞り、新潟陣内にボールを運んだ。その川﨑に好シュートを放ったばかりの伊藤が猛然と詰め寄る。すると川﨑は足を巻き込まれるように転倒した。主審は即、伊藤にイエローカードを示したが、川﨑はその傍らでうずくまり悶絶する。
京都ベンチはその時、すでに交代枠は使い果たしていた。川﨑はなんとか起き上がりプレーに復帰するも、足を痛々しく引き摺っている。その状態で10分以上もピッチに立っていた。見たくない光景とはこのことである。
タイムアップの笛が鳴った瞬間、川﨑は誰よりも早くピッチに突っ伏した。その翌日、日本代表に合流したが、12日の公開練習は別メニュー調整だったという。エルサルバドル戦、ペルー戦で彼はプレーできるのか。思いきり心配になるのだった。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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