日本代表初招集、京都サンガ・川﨑颯太の魅力は「ボールの動きに細やかに反応する軽快さ」だが、試合出場はあるか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【伊藤涼太郎とマッチアップ】

 日本代表レベルにあると言っても過言ではない。先の日本代表メンバー発表会見でも「なぜ伊藤を招集しなかったのか」という質問が出たほどである。意外な人選だった川﨑とはつまり、対照的な関係にあった。

 4-2-3-1の1トップ下にポジションを構える伊藤に対し、川﨑は4-3-3のアンカーである。すなわち両者はマッチアップする関係にあった。

 両者の関係がより鮮明になったのは前半16分だった。伊藤が逆襲から左足で右ウイングのダニーロ・ゴメスにロングフィード。それを受けたゴメスが切れ込みシュートに入るが、そこで潰されると、今度は伊藤がエリア内に侵入した。その瞬間だった。主審は笛を吹きイエローカードを提示する。伊藤の前進を反則タックルで阻んだのは川﨑だった。

 立命館大学に通う弱冠21歳。今季から左腕にキャプテンバンドを巻いているその意地を見るかのようなギリギリのプレーだった。

 172センチ、70キロ。パッと見はそれ以上に小さい。アンカーにしては軽量級だ。しかし川﨑の特徴は、その身の軽さを活かすようなプレーぶりで、まさに軽快なのだ。集中力が高いと言うより、ゲームに入り込んでいる。ボールの動きに対し、常時、敏感かつ細やかに反応するという感じなのだ。「サッカーゲームで主役となるのはボール。そのボールの動きに対し共鳴するように動け」と、かつてこちらのインタビューに答えたのは、フアン・マヌエル・リージョ(元ヴィッセル神戸監督)だが、川﨑を見ていると、その言葉がふと蘇るのだった。

 足が止まらないので連続性がある。元ドイツ代表で守備的MF兼SBとして活躍したフィリップ・ラームを彷彿させるクレバーさを兼ね備えている。マンチェスター・シティのジョン・ストーンズではないけれど、川﨑は今日的な右SBとしてもいけそうな可能性も感じさせる。

 だが、試合のペースを握っていたのは京都ではなく新潟だった。後半27分、右SB新井直人のヘディング弾で同点に追いつくと、逆転は時間の問題かと思われた。ところがその直後、同点ゴールを決めたばかりの新井が、軽率なパスミスを犯し、京都のFWパトリックにゴールを奪われてしまう。さらにその5分後には、島田譲がエリア内で京都のFW一美和成を倒してしまう。パトリックに駄目押しのPKを決められ、1-3とされた。

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