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5点取っても攻撃をやめない「それがミシャのサッカー」 コンサドーレは「想像を絶する」極上のエンタテインメントを提供する (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

【今季リーグトップの37得点】

 ただ、それでもスペースがなくとも、札幌は攻撃の手を緩めることはなかった。シャドーの1枚が下りてボールを引き出したり、大きなサイドチェンジで揺さぶりをかけるなど、苦心しながらも柏の守備組織を何とかこじ開けようと試みた。

 そして迎えた69分、CKのこぼれ球を金子が豪快に合わせ勝ち越しに成功。ファンの言葉どおりに「3点取られても4点取って勝つ」展開へと持ち込んだのだ。

 しかし、後半アディショナルタイムにCKから3度目となる同点弾を許してしまう。ただもっとも、この日の札幌はここからがひと味違った。

 その2分後、巧みな連動で中央を崩してエリア内に侵入すると、最後は攻め上がっていた田中駿汰が値千金の決勝ゴールをマーク。一度はオフサイドと判定されたものの、VARによって覆り、ゴールが認められるというシナリオ付きだった。

 楽勝ペースから一転、後半は苦しみ、それでも勝ち越したと思ったら、土壇場で同点とされてしまう。そして、誰もが勝利をあきらめた瞬間に決勝ゴールが生まれるのだから、想像を絶する結末である。スコアは5-4。これには件(くだん)のファンも驚きを隠せなかったに違いない。

「この5年半、私が札幌を率いてから、攻撃に特化したチームとして戦っている。リスクを負って攻撃を仕掛けるなか、相手より1点でも多く点を取って勝つことを目指している。リスクを負えば、点を取られることもある。失点が多いことは、みなさんが指摘したいところだろう」

 リスクを負って攻め込むから、多くのゴールが生まれる。この日の5得点で札幌の今季得点数はリーグトップの37。一方でリスクを負って攻め込むからこそ、失点はリーグワースト3位の31を数える。

 典型的だったのは、2失点目の場面だろう。CKのチャンスから次々にシュートを放ちながら、こぼれ球を相手に拾われてカウンターから独走を許してしまった。

 普通であれば、カウンターに備えて1、2枚をハーフウェーライン付近に待機させておくのだが、ドリブルを仕掛ける柏の選手の前にはGK以外、誰もいなかった。

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