名古屋グランパス好調の要因は「速い攻撃」 相手の一瞬の隙を見逃さなかったゴールの形とは (2ページ目)
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森下龍矢へスルーパスを通し、左サイドをえぐってクロスをユンカーが合わせた
名古屋は序盤から強みである永井謙佑、ユンカー、マテウスの前線3人のタレントを生かした縦に速い攻撃を仕掛けたが、広島の塩谷司、荒木隼人、佐々木の3バックを中心に跳ね返され続けていた。
しかし、この決勝点のシーンでは、この試合で初めてマテウスがフリーで前を向いてボールを持つことができた。
マテウスはすぐに左前にスルーパス。相手を振りきった森下のクロスから、最後はユンカーがゴールしたこの記事に関連する写真を見る 前のシーンで広島のゴールキックのこぼれ球を丸山祐市が大きくクリアし、そのボールを佐々木がヘディングで跳ね返すという互いにルーズボールを蹴り合う形となり、マークが曖昧になっていた。
そこで佐々木のクリアボールを藤井が拾い、米本につないだ時、マテウスは相手DFとMFのライン間で浮いた状態になっていた。それまではマテウスがライン間に入っても、広島は3バックの誰かが厳しくマークについていたが、蹴り合いのなかでマークがはっきりせず、また永井が前線にいたことでセンターバックが出づらい状況だった。
そういったことが重なり、マテウスは中央で初めていい形でボールを受け、前を向くことができた。そして、すぐに左サイドをスプリントで駆け上がる森下へスルーパス。
森下は越道草太を振りきると、この試合初めて相手GKとDFの間にグラウンダーのクロスを差し込んだ。それを佐々木と競り合いながらユンカーが押し込み、決勝点となった。
広島の守備に苦しんだ名古屋だったが、少ないチャンスをものにして上位対決を制した。
◆【動画】Jリーグ第14節 名古屋グランパスvsサンフレッチェ広島 ハイライト
(名古屋の2点目のシーンは、6分18秒~7分20秒)
著者プロフィール
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。
◆【画像】名古屋グランパス、サンフレッチェ広島ほか、2023 J1全18チーム序盤戦フォーメーション
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