「10年後もカズさんには現役でプレーしてほしい」北澤豪が考えるJリーグの未来図「アジア支援、SDGs、障がい者、高齢化...」 (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki, AFLO

── Jリーグは「地域密着」「地域貢献」を打ち出してスタートしましたが、ホームタウンと双方向の関係になるまでには、やはり時間を必要としました。

「スタート時は親会社とか企業の力を借りながらで、当時はスポンサーだったけれど、今はパートナーという位置づけになっている。協同しましょう、ということですよね。

 振り返って考えると、Jリーグはサッカーの競技力向上だけでなく、スポーツ文化の振興とか国民の心身の健全な発達を理念として掲げている。そういう理念があるからこそ、クラブは地域に根づいていく必要があった。

 企業もまた、根づかないといけなかった。プロサッカーというスポーツ産業が生まれて、走りながら考えて、気づきながら取り入れて、育ってきた30年じゃないかな、と感じます」

── 北澤さん自身は引退後、セカンドキャリアは一貫してフロント側に立っていますね。サッカーとは直接的な結びつきが見えにくい活動にも積極的に取り組んでいます。

「たとえば、アジアの途上国支援は『日本サッカーがアジアの代表であるなら何をするべきか?』といった視点からも考えていて、JICAを通してアジアへの指導者派遣の仕組みを作りました。

 アジア全体のレベルを上げていかないとJリーグは孤立してしまうし、ワールドカップにつながる強化にもならない。アジアの横のつながりを広げていくための活動を、引退後はずっとやってきました」

── アジアの国々で活躍する日本人指導者は増えていますね。

「アジア各国の代表チームで、日本人が監督を任される時代になりました。アジアのレベルが上がれば、いい選手がJリーグに来るような動きが出てくる。ヨーロッパや南米の外国人選手の目線も、アジアに向けられてくる。

 アジアが世界のサッカーの中心になれば、ワールドカップで優勝することだって夢じゃない。僕がやっている活動は、ワールドカップ優勝を意識したものなんです」

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