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FC東京が強くなっている「どこかのコピーではない」アルベル監督が目指すのは成功した新潟スタイルではなく「東京オリジナル」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 チームを率いるアルベル監督は、前任クラブであるアルビレックス新潟時代も含め、ポゼッションスタイルを志向してきた。ポゼッションサッカーなのか、ポジショナルプレーなのか、それを表す言葉はともかく、ボールを保持し続け、攻撃的に試合を進めることを好む指揮官であることは間違いない。

 来日前のアルベル監督が、バルセロナの育成組織で仕事をしていたという経歴もまた、そんなイメージをより強くしている理由だろう。

 事実、アルベル監督が在任2年で確固たるスタイルを築いた新潟は、それを引き継いだ松橋力蔵監督の下、昨季J2の頂点に立ち、J1へ昇格を果たしている。

 パスをつないで相手を押し込み、最後は多彩なアイデアを駆使したコンビネーションでゴールを陥れる。そんな痛快なサッカーは、すっかり新潟の"色"として認識されるようになった。

 昨季からアルベル監督が率いるFC東京でもまた、期待されるのは同様のスタイルの確立であるに違いない。

 だが、就任1年目の昨季は、順位こそ6位とまずまずの成績を残したものの、志向するスタイルはというと、その姿がおぼろげに見える程度。組織的にボールを動かすよりも、FWディエゴ・オリヴェイラ、FWアダイウトンらの個人能力に頼る部分が大きかった。

 それだけに、今季のFC東京を見るうえでひとつのポイントとなるのは、スタイル確立の進捗度だったはずだ。

 つまりは、いかに長くボールを保持して相手を崩し、そのうえでどれだけゴールにつなげられるか、である。

 昨季との比較で言えば、ボールを保持した際のプレーにも進歩の様子はうかがえる。

 特に左サイドでは、3トップの左に入るアダイウトンと、左サイドバックのDFバングーナガンデ佳史扶がうまく内と外を分担し、そこに中盤の選手が絡んでくることで良好なコンビネーションが構築されている。崩しのカギとなるニアゾーンの攻略も、確実に成功回数を増やしている。

 とはいえ、低い位置でのビルドアップから確実にボールを前進させ、ゴールに迫ることができているかと言えば、そうではない。

 柏戦を振り返っても、中盤と前線との間で選手の立ち位置を動かすことによって、スペースの創出と活用を試みたが、「その部分で意図したプレーはできなかった」(アルベル監督)。

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