横浜FCのGKブローダーセンが語るドイツサッカー。オリバー・カーンへの憧れと故郷の特別なクラブ、ザンクトパウリのこと
横浜FC スベンド ブローダーセン インタビュー 中編
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来日して1年半が経った、横浜FCのGKスベンド ブローダーセンをインタビュー。憧れのGKだったオリバー・カーンと、サッカー界で特別な存在である自身の出身クラブ、ザンクトパウリ について語ってくれた。
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ザンクトパウリでチームメイトだったブローダーセン(右)と宮市亮(左から2番目)この記事に関連する写真を見る
【新横浜公園でカーンの手形を見つけた】
スベンド ブローダーセンと横浜という土地には、不思議な縁がある。
一昨年の夏、彼と同じ時期にサンクトパウリから帰国した宮市亮も横浜F・マリノスに加入したし、ブローダーセンが少年時代に憧れたオリバー・カーンは2002年の日韓W杯で活躍し、最後は惜しくも敗れたものの、横浜国際総合競技場での決勝で印象的なパフォーマンスを見せた。
そして横浜FCとの契約にサインした直後に、ドイツの五輪代表に選出され、昨夏にはそのスタジアムでベンチに入った(出番はナシ)。
「素敵な偶然が重なったね」と嬉しそうにブローダーセンは話す。「オリバー・カーンは幼少期の僕にとってヒーローだった。プロのGKを目指したのも、彼の影響が大きいよ。カーンは異端のGKで、いつも情熱的にプレーしていた。一時期、有頂天になっているような時もあったけど(笑)、基本的には悪い人ではないと思うな。
だから彼がW杯の決勝を戦った横浜で、自分もプレーできるようになって、本当に嬉しいよ。ちょっと信じられないくらいだよ。僕はふだんからよく新横浜公園でバスケットボールをするんだけど、スタジアムの外にカーンの手形を見つけたんだ。家族が来た時にも、みんなと一緒に見に行ったよ」
また彼の出身地ハンブルクの港は、長らく横浜港と姉妹関係にある。ふたつの街に共通するものは、あるだろうか。
「大きな港があって、繁華街があって、熱いフットボールクラブがある。横浜もそうだと思うけど、ハンブルクには近年、世界中から多くの人が来たり、暮らしたりしているので、さまざまな人種が混在しているんだ。
それにハンブルクの人々は、ドイツの他の都市の人々と比べて少し控えめなところがある。だからもし日本人の方が初めてドイツに行くなら、ハンブルクを勧めるよ。ドイツの他の都市よりも、カルチャーショックは少ないはずだから」
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プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。