「地球を半周する冒険は僕の人生で最良の決断だった」横浜FCのGKブローダーセンが日本での生活で感じたこと
横浜FC スベンド ブローダーセン インタビュー 前編
Jリーグは現在、じつに多くの国から、さまざまな外国籍選手がやってきてプレーするようになった。彼らはなぜ日本でのプレーを選んだのか。日本でのサッカーや、生活をどう感じているのか? 今回は横浜FCのGKスベンド ブローダーセンに話を聞いた。元々日本の文化に興味があったという彼だが、実際に生活してみて感じたこととは?
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【初めて買ったゲームはゲームボーイ】
もうすぐ開幕するJ1リーグに、1年で再昇格を果たした横浜FC。昨シーズンのJ2で得点王とMVPに輝いた小川航基が攻撃のエースとして活躍した一方、最後尾でゴールを守り続けたのがドイツ人守護神スベンド ブローダーセンだ。
一昨年の夏、ザンクトパウリから当時J1を戦っていた横浜FCに移籍すると、すぐさま定位置を掴み、パワフルなパフォーマンスを連発。その半シーズンでは、惜しくも新天地の降格を止めることはできなかったが、昨季の2部リーグでは攻撃的なチームを後方から力強く支え、目標の達成に貢献した。横浜FCが多くの接戦を制し、2位で昇格を遂げられたのは、彼の存在によるところも大きいだろう。
約束の時間に現れた画面越しのブローダーセンは、メガネがよく似合う柔和な表情の好青年だった。ほどよく肩の力が抜けていて、冗談も嫌いじゃなさそうだ。
「英語? いや僕は英語を話さないんだ......というのはジョークで。ドイツ語でもいいよ」
そんなふうに切り出して、自然とオンライン上の場を和ませる。インタビュアーが持つべきスキルを、インタビュイーが繰り出してきたわけだ。そして日本語で「よろしくね」と彼が言い、取材はスムーズに始まった。
いくつかの既出のインタビューでも語っているとおり、ブローダーセンは少年時代から日本のゲームやアニメ、映画と親しみ、私たちの国との接点を持っていたという。
「初めて買ったゲームはニンテンドーのゲームボーイだったし、ポケモンにもはまったね。古い映画も好きだから、ゴジラなんかも見ていたよ」
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プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。