浦和レッズの開幕戦で注目された采配や戦術。スコルジャ新監督の特別な「色」は見られたのか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 今季から浦和レッズを率いる新指揮官、マチェイ・スコルジャ監督にとっては、厳しい初陣だったに違いない。

「私のデビュー戦なのに、勝てずに残念。いいスタートをきりたかった」

 スコルジャ監督自身がそう振り返った、今季J1の開幕戦となる第1節。浦和はアウェーでFC東京と対戦し、0-2で敗れた。前半はスコアレスで折り返したものの、後半に2点を失っての完敗である。

浦和レッズの新指揮官として注目を集めたマチェイ・スコルジャ監督浦和レッズの新指揮官として注目を集めたマチェイ・スコルジャ監督この記事に関連する写真を見る「前半は、完全ではなかったが、我々のサッカーができていた」

 新指揮官の言葉どおり、前半の浦和は悪くなかった。

 FC東京の攻撃をうまく制御し、ボールを奪取。速攻と遅攻を織り交ぜながら、相手ゴールに迫る機会を作り出した。特に相手のハイプレスを逆手にとり、ロングパス1本で相手の背後を狙うカウンターは、結果的にオフサイドになっていたとはいえ、ゴールを予感させる有効策となっていた。

 FC東京のアルベル監督が振り返る。

「アンカーの脇を突かれて苦しんだことに加え、ハイプレスをロングボールで打開され、苦しい展開だった」

 ところが、である。

「前半と後半ではまったく違う試合になってしまった」とスコルジャ監督。後半の浦和は防戦の時間が長く続き、そのなかで2点を失う結果となった。

 後半66分に生まれたFC東京の先制点はオウンゴールだったとはいえ、「押し込まれ続けているなかでの失点。不運だったとは言えない」(スコルジャ監督)。

 失点後、浦和が反撃姿勢を強めるも、前がかりになるあまり、むしろ危ういカウンターを受ける場面を増やすことにつながった。後半74分にFC東京の追加点が生まれたのも、必然的な流れだっただろう。

 スコルジャ監督は試合後、「特に後半を細かく分析したい」と語り、こう続けた。

「(前半と後半とで)あまりに違うふたつの顔を、ひとつの試合で見せてしまってはいけない」

 0-2というスコアは、後半の内容に照らせば、妥当な結果だったと言うしかない。

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