浦和レッズの開幕戦で注目された采配や戦術。スコルジャ新監督の特別な「色」は見られたのか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 浦和にとっては悔しい結果となったこの試合は、今季開幕戦というだけでなく、スコルジャ監督の初陣という点でも注目を集めた。つまりは、新監督率いる浦和がどんなサッカーを見せてくれるのか、である。

 とりわけスコルジャ監督の場合、これまでのコーチ歴は自国ポーランドのクラブチームでのものがほとんど。国内タイトルを数多く手にしているとはいえ、国際舞台での実績は少なく、どんなサッカーを志向するのか、未知な部分が少なくなかった。

 それだけに、より一層興味をかきたてられたわけだが、結論から言えば、よくも悪くも新監督の色は薄かった。昨季からの大きな変化は見られなかった、ということになるのだろう。

 先発メンバーを見ても、新外国人選手であるDFマリウス・ホイブラーテンが名を連ねていた以外は、ほぼ昨季の序列に沿った顔ぶれ。外国人監督の場合、いきなり若手をサプライズ起用するケースも珍しくないが、それもなし。相手のFC東京では18歳のルーキー、FW俵積田晃太がベンチ入りしていたが、そんな大抜擢は見られなかった。

 ピッチ上での試合の進め方にしても、同様だ。

 浦和の新たな武器としてハイプレスが開幕前には話題となっていたが、この試合を見る限り、それほど極端なものではなく、あくまでもオーソドックスな範囲のもの。攻撃面に目を向けても、ボランチのMF岩尾憲を中心にビルドアップしていくスタイルは、昨季以前からの継続を思わせるものだった。

 後半はFC東京のハイプレスの餌食になる場面が目立ったが、裏を返せば、それだけつなぎにこだわっていたとも言える。言うまでもなく、それはリカルド・ロドリゲス前監督が積み上げてきた成果だ。

 話題性という意味では、これと言って目を引くような"新監督ネタ"はなく、静かな初陣だったということになるのだろう。大いに期待が高まる鮮烈なデビュー戦とはならず、人によっては、拍子抜けに近い感情を覚えたかもしれない。

 とはいえ、それは当然のことでもある。

 初めてJリーグで指揮を執るポーランド人監督にとって、現在足を踏み入れているのは未知の世界。来日前から浦和の試合は映像等でチェックしていただろうが、実際に指揮してみて気がつくことも多いはずだ。

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