横浜F・マリノスから世界をうかがう山根陸。「アシストより「チームのリズムを変えるのに快感がある」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【心に響いた水沼宏太の言葉】

――個人的には、同世代では鳥栖の中野伸哉選手に抜きん出た才能を感じます。

「僕も同じです。15歳の時に初めて伸哉とプレーするようになったんですが、いつの間にか、東京オリンピック候補にも入っていた。伸哉のよさは、昔はスピードという感じだったのが、今は総合力のところですごくクオリティが高い。そこは僕も目指しているところなのですが、身体能力も高いけど、それに頼らず、頭を使ってプレーできていて、本当に賢い選手です。U-19フランス代表戦でも、身体能力が高い黒人選手を相手に、優位性をもって1対1ができていました。単純にすごいな、と」

――他の選手への考察が鋭く、物事を俯瞰して見ることができる性格はボランチならでは?

「性格は普通です(笑)」

――山根選手自身は、殻を破るためにどんな工夫をしていますか?

「"止めて蹴る"は外しちゃいけないところだと思うので、個人的にやっていますね。中盤の渡辺皓太選手や西村拓真選手、藤田譲瑠チマ選手と、一緒にフリータイムにパスやトラップのトレーニングはしています。いざ試合になった時、いくら同じパス練習をしていても、難しいシチュエーションはあるのですが、まずはボールを止められるように」

――プロ1年目を終えて、響いた言葉はありますか?

「心に残っているのは、1年目の最初に水沼(宏太)選手にかけられた言葉で、『お前、前を向けるんだから、もっとボールを受けろ!』と。その時、まだ自分が前を向けるとか、よくわかっていませんでした。ボールを受ける自信がなくて、むしろ怖いくらいだったんですけど、それを言ってもらってから、そうなのかなと、トライする回数が増えて、少し自信を持ってボールを受けられるようになりました。だから、いいタイミングですごくいい言葉をもらったな、と思っています」

――中井選手や福井選手はすでに欧州でプレーしていますが、こうなりたいという未来のイメージはありますか?

「ワールドカップは出たいです。そのためにはA代表で活躍する必要があって、それには、ヨーロッパのビッグクラブや海外に出ていくべきで、最終的にはヨーロッパでプレーしたいです。でも、その前にJリーグで圧倒的な結果を残さないといけません」

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